大震災の経験共有し交流深める東松島とバンダ・アチェ

大震災の経験共有し交流深める東松島とバンダ・アチェ
 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県東松島市と、2004年のスマトラ沖地震・津波の被災地、インドネシアのスマトラ島アチェ州の州都バンダ・アチェ市が交流を深めている。バンダ・アチェ市は3月から1年間、2人の職員を東松島市に派遣した。両市が目指すのは、単に壊れたものを元に戻すだけの復旧ではなく、震災を機により良い地域社会を構築しようという、いわば地域再生事業。震災の経験を共有することで、その足掛かりにしようと取り組んでいるもの。
 スマトラ沖地震・津波では22万人以上の死者・行方不明者を出した。東松島市は東日本大震災で全世帯の76%が全半壊、1000人以上が犠牲になった。両市をつないだのは、国際協力機構(JICA)東北の企画役で、05~08年、アチェの復興支援に携わった永見光三さん。東日本大震災直後、ともにアチェを支援したケントロ・マンクスブロト元アチェ・ニアス復興再建庁(BRR)長官(現開発管理調整官)から、被災者のため力になりたい旨の連絡が入ったという。これをきっかけに両市の協力が具体化していった。
 バンダ・アチェの2人は3月9日に現地を出発、10日に日本入り。15日から東松島市で2人を受け入れる一般社団法人「東松島みらいとし機構(HOPE)」の実務に参加する。

 

さつま揚げの老舗「有村屋」伝統の味をブカシで生産

さつま揚げの老舗「有村屋」伝統の味をブカシで生産
 創業101年を迎えるさつま揚げの老舗「有村屋」(鹿児島市)の工場がこのほど、西ジャワ州ブカシで操業開始した。インドネシア産のすり身を加工した100%インドネシア産のさつま揚げを製造する。同国内はじめ米国、豪州などへの輸出も視野にいれ、「インドネシア産・鹿児島の味」を世界に広げる。同社のインドネシアでの事業は約4半世紀ぶり。
 有村屋は日系食品卸のますやと合弁会社「有村屋インドネシア」を設立。今年1月に製造開始した。材料のすり身を中部ジャワの日系工場から取り寄せ、インドネシアの海で獲れたイトヨリダイやキントキダイのすり身に、枝豆を混ぜた「えだまめ天」、サツマイモを混ぜた「サツマイモ天」など7種を生産する。具材はいずれもインドネシア産。イスラム指導者会議(MUI)のハラルの認証を取得し、インドネシア全土で販売する。
 同社は日本から年間100㌧輸出(米国、台湾、シンガポール)しているが、円高対策でインドネシアを海外への輸出拠点と位置づけ、米国や豪州への供給を見込む。このブカシ工場でも日本と同様、国際的な衛生管理基準のHACCPの認証も取得している。将来的に1日2㌧の生産を目指す。

八戸高専の生徒がバンテン州の高校生と交流、意見交換

八戸高専の生徒がバンテン州の高校生と交流、意見交換
 東日本大震災からの復興を外国に発信するため日本政府が取り組む「キズナ強化プロジェクト」でインドネシア入りした青森県・八戸高専の生徒14人は3月4日、学校間交流に力を入れるバンテン州スルポンの国立イスラム寄宿学校インサン・チュンドゥキアを訪れた。
 同校の生徒約20人を前に、被災地の現況を写真でで見せたり、震災の影響などについて話し、意見交換、災害訓練の大切さを共有した。インサン・チュンドゥキア校の生徒は、2004年のスマトラ沖地震・津波や06年の中部ジャワ地震について紹介。日本から災害に対する考え方や対策技術を学ぶことができた-と話した。同校は科学技術応用評価庁(BPPT)と連携し、イスラム教育と科学技術を重視したカリキュラムを編成。日本にも留学生を送り出している。

特例で外国人看護師、介護福祉士の滞在1年延長

特例で外国人看護師、介護福祉士の滞在1年延長
 政府は2月26日、経済連携協定(EPA)に基づいて日本で看護師、介護福祉士として就職を希望するインドネシア人とフィリピン人の滞在期間を1年延長する特例措置を決めた。来日前に半年間の日本語研修を受けず2010~12年度に来日した人が対象で、国家試験の受験機会を増やすのが狙い。
 これに伴い、この対象者は滞在期間が1年延長され、看護師が4年、介護福祉士は5年となる。ただ、国家試験の得点が一定の水準を満たすなど条件が別途定められる。

 

在スラバヤ総領事館で元日本留学生と邦人が交流

在スラバヤ総領事館で元日本留学生と邦人が交流
 在スラバヤ日本総領事館と元日本留学生協会(プルサダ)東ジャワ支部は2月22日、総領事公邸でプルサダ同支部の会員とスラバヤ在住の日本人などを約150人を招待して、恒例の懇親会を開いた。シェルマン・プルサダ東ジャワ支部長のあいさつに続いて、野村昇・駐スラバヤ日本総領事は今年が日・ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力40周年、日・インドネシア国交関係樹立55周年であることに触れ、今後も日本はASEAN、インドネシアとの関係を強化していきたい。懇親会を通じて友好関係を深めていきましょう-とあいさつした。
 インドネシア人参加者が日本舞踊、東ジャワ日本人クラブ(EJJC)コーラス部「ブンガ・マワル」とラグラグ会スラバヤ支部メンバーはインドネシア語の歌を披露。双方の文化を通じ、親交を深めた。

 

岡山県新庄村がマカッサルのハサヌディン大と協定

岡山県新庄村がマカッサルのハサヌディン大と協定
 人口約900人の岡山県新庄村が2月初旬、南スラウェシ州マカッサルのハサヌディン大学との間で有機農業に支援に関する協定を結んだ。同村は65歳以上の高齢者が約40%を占めるが、有機農業に関心のある研修生ら若者を呼び込み過疎化を食い止め、村の活性化につなげるとともに、有機農業を通じアジア地域の農業振興に貢献しようというものだ。
 今回の協定は、同大の「マリノ実習地区」責任者で、国際医療ボランティア、AMDA(岡山市)インドネシア支部長を務めるアンディ・フスニ・タンテ教授の仲介で実現した。同村の笹野寛村長が1月31~2月4日の日程で同大の「マリノ実習地区」を訪問。同地区の気候や農業形態を視察している。
 実習地区周辺には農薬を使用する農家が多いが、有機農業を普及させることで、販売する農産物の付加価値を高めると共に、地元の人々のより安全な食生活の確保を支援するのが狙い。5月から約半年間、同大の学生2人を同村で受け入れ、有機農業の技術指導や人材育成に関する研修を行う。土壌に適した作物や栽培方法を学んでもらうという。

高校生の日本語弁論全国大会 デオリタさん優勝

高校生の日本語弁論全国大会 デオリタさん優勝
 高校生の日本語弁論全国大会が2月16日、中央ジャカルタの国営ラジオ放送局(RRI)で行われ、「わたしのへんか」を発表したジョクジャカルタ特別州のデオリタ・エドソニアさん(17)が優勝した。国際交流基金ジャカルタ日本文化センター、教育文化省初等中等教育局学生課、RRIが共催した。
 首都圏をはじめ日本語学習が盛んな8地域での予選を勝ち抜いた14人が出場。日常生活で感じ、考えたことを日本語で発表。話し方や構成を競った。デオリタさんは高校時代の寮生活の経験について発表した。洪水で頻繁に浸水する寮を何とかするため友人に呼びかけ、周辺の溝や寮内で下水管を詰まらせるごみを収集した体験を話した。その清掃活動から、自分で考えて何かができることを学んだという。準優勝は「けんこうは必要でしょうか」を発表した東ジャワ州のムハマド・ファエス・リャン・アフィノさん(17)だった。

夢かけ再来日し再挑戦の人も 看護師国家試験

夢かけ再来日し再挑戦の人も  看護師国家試験
 日本とのEPA(経済連携協定)に基づき日本に滞在しているインドネシアとフィリピンの看護師候補者たちは2月17日、5万人を超える日本人に混じって、日本各地で行われた102回看護師国家試験を受験した。合格発表は3月下旬。
 試験は午前9時から午後零時半、同2時20分から同5時50分の計7時間にわたって行われた。大阪では近畿大学を会場に、2カ国合わせて約120人が受験した。試験会場には、すでに合格して看護師となった先輩たちが、後輩の応援に駆けつけていた。いったん帰国し、夢を諦めかけたが、インドネシアの日系人を支援する組織・団体の協力で、再来日して受験した候補者の姿もみられた。    
 2008年7月に発効した日本とインドネシアのEPAに基づき、同年8月からこれまでにインドネシアから392人が看護師候補者として来日。合格者はこれまで約50人にとどまっている。言葉の壁などが大きく、9割前後で推移する全体の合格率と比べ極端に低いのが現状。
 厚生労働省は今年の試験で、EPAに基づく外国人看護師候補者の試験時間を一般受験者より1時間40分長い7時間に延長し、問題文の漢字に振り仮名を付けるなど徐々に改善策を講じている。

西ジャワ州の日系企業が地域と共生へ交流活動

西ジャワ州の日系企業が地域と共生へ交流活動
 西ジャワ州カラワン県のスルヤチプタ工業団地の日系企業による「ミトラの会」の活動が1月29日、始動した。同会は昨年6月、同工業団地の入居企業と周辺の地域住民との共生の場を創出するため設立され、19社が参加。参加企業から会費を募り、年間予算約7000ルピアで運営する。
 初の今回は、企業14社から26人と児童・生徒約120人が参加し、近隣のクタムカル村立小学校と中学校を訪問、掃除した。30分ほどで、ごみ袋8袋と、プラスチックごみ、生ごみ、木のくずなどを回収した。今後は医療相談会、交通安全集会などを月1回の頻度で開催する予定。

インドネシア人の視点で描く初の本格的な日本紹介番組

インドネシア人の視点で描く初の本格的な日本紹介番組
 2月3日から、インドネシア人の視点で描く初の日本紹介テレビ番組「Kokoro No Tomo(心の友)」の放送が、民放メトロTVで始まる。これはインドネシア人が制作指揮した、日本の観光地やものづくりの強さの源泉を伝えるテレビ番組。インドネシア人9人のチームが約1カ月にわたり日本で撮影。東京、山形、宮城、北海道、大阪、香川、岐阜でロケを行った。
 各回でテーマを決め、観光紹介だけではなく、仙台では震災から復興する東北の姿、香川では工場で働くインドネシア人従業員の声なども伝える。番組の案内役をアマンダ・ゼバンニャさん(ミス・インドネシア2011のファイナリスト)が務める。
 日本政府観光局(JNTO)、日本貿易振興機構(JETRO)、インドネシア日本友好協会(PPIJ)が協力したほか、日系中心に8社と北海道と岐阜県の観光局がスポンサーとなり、制作・放送費用を負担した。