横浜のNPO フィリピン台風被害復興で漁村を支援
横浜市磯子区のNPO法人「草の根運動」がフィリピンの漁村で進めている台風被害復興支援プロジェクトが着実な成果を挙げている。漁民組合、女性組合の立ち上げ、小型漁船計19隻の提供による漁の復活、海藻養殖や干物製造など新事業も進められ、村民は自立に向け前進している。
フィリピンは2013年11月の台風30号で死者・行方不明者8000人超、避難者約400万人という大被害を受けた。草の根援助運動は、現地NGO(非政府組織)「フィリピン農村再建運動」と共同で、2014年4月から支援プログラムを始めた。対象は最貧困地域で復興も遅れた東サマール州の漁村。当初はバッカオ、ギゴソの2村、後にサントニーニョ村も加えた。3村(人口計約2700人)では計約230隻あった3~5人乗りの木製小型漁船「バンカー」は高潮で流され、残ったのはわずか9隻。村民のほとんどが生計手段を失い、援助で生活をしていた。
支援はエンジン付き小型漁船(全長6.6㍍、5.4㍍の2種類)と漁具の無償提供が軸だが、村民が主体的に行動できるよう村民の組織化に重点を置いたという。常駐スタッフが村民への説明、地域のリーダーの発掘などを行った結果、各村ごとに15人から60人規模の漁民組合、女性組合が発足。ギゴソでは禁漁区設置を望む15人多目的組合も結成した。小型漁船は8月、漁民、多目的の計4組合に各3~8隻計19隻を提供した。漁船は組合所有で交代使用する。フル回転で使われている。
各組合では新規事業も始めている。サントニーニョの漁民組合は海藻養殖に挑戦している。ギゴソ女性組合は干物の製造販売を始めた。夫らが水揚げした魚の一部を干物にして近隣の地方都市で販売。1カ月約30㌔を売り、貴重な現金収入になっているという。神奈川新聞が報じた。