労働集約型産業の進出先には中部ジャワが狙い目か
日系企業にとって製造業の生産拠点として”脱”中国の動きが加速しつつある中、インドネシアにおいても工場立地には、都市郊外や大都市を離れる傾向が強まっている。インドネシアでも都市部での賃金上昇圧力があるためだ。労働集約型産業の場合、とくにそうした傾向が強い。
今年、ジャカルタと西ジャワ州ブカシ県の最低賃金は4割以上も上昇した。その結果、賃金は月額200万ルピア(約2万円)を超えた。一方、中部ジャワ州スマラン市は約120万ルピアと4割も低く、労働力の確保も容易という。
例えば、アパレル産業で「洋服の青山」や「スーツ・カンパニー」などを運営する青山商事の製造子会社、服良(名古屋市名東区)の現地法人、服良インドネシアが2月末、中部ジャワ州スマラン市郊外の工業団地でスーツ製造工場の建設を開始したのもこうした背景があるからだ。
従来、日系企業がASEAN(東南アジア諸国連合)に進出したのは労務費が安いということが最大の要因だった。だが、それも国・地域別に分類して考慮しなければいけない時代に入ってきたというわけだ。一定の水準でインフラが整備されていることを前提にすれば、インドネシアでは賃金が低い中部ジャワに生産拠点を構える形態は、今後、縫製業など労働集約型産業の進出モデルになる可能性がある。