インドネシア「エコカー」政策不発で痛手被るトヨタ・ダイハツ
インドネシア政府が導入するエコカープログラム「ローコスト・グリーンカー(LCGC)」政策に合わせて、その適用車の生産に充てられるはずだったダイハツ工業の西ジャワ州の新工場が、同国の政策決定が当初予定より1年以上も遅れているため開店休業の状態にあるなど、トヨタ・ダイハツ連合が痛手を被っている。
ダイハツと親会社のトヨタ自動車はかねてより、現地政府と事前折衝を重ね、競合他社に先駆けてLCGCの対象条件を絞り込み、1億ルピア(約100万円)を切る低価格、低燃費、部材の高い現地調達率の3条件を満たしたエコカーを内定。新工場ではダイハツブランド「アイラ」、トヨタブランド「アギア」を生産し、トヨタ・ダイハツ連合は、LCGC適用第1号としてスタートダッシュをかけるはずだった。
今回のLCGC政策にかけ、2年以上も前に約210億円の投資を伴う工場建設を決めて、インドネシア初の専用エコカーを誕生させる準備を進めてきていたのだ。そもそもトヨタ・ダイハツ連合のインドネシア市場に対する思い入れは強い。競合他社のようにアジア共通車をインドネシア仕様に合わせて水兵展開するのではなく、現地ニーズを汲んだインドネシア専用車を投入してきた。その姿勢が市場に受け入れられ、2012年度のシェアはトヨタ35.4%、ダイハツ14.6%となり、両社で同国の市場の半分を握っている。
こうした延長線上でのエコカー戦略だったが、政策不発による痛手は大きい。政策決定遅延の理由はインドネシア政府の財源不足に尽きると指摘されているだけに、容易に財源手当にメドがつくとは考えにくく、局面打開にはかなり時間がかかりそうだ。