EPAで来日したインドネシア人介護福祉士2人が現場で汗
日本・インドネシア両国の経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受け入れ事業で来日し、和歌山県内の特別養護老人ホームで働いていたインドネシア出身の女性2人が今春、国家試験に合格。EPAでは和歌山県内初の合格者となった2人はいま、日本の福祉の現場で日々奮戦、快い汗を流している。
この2人は、和歌山県有田市宮崎町の特別養護老人ホーム「田鶴苑」で働くディナ・ディアナ・プスピタさん(26)さんと、御坊市名田町の特別養護老人ホーム「日高博愛園」で働くニケン・ヤスティ・プラティウィさん(27)さんだ。インドネシアではディナさんは助産師として働き、ニケンさんは小学校でコンピューターを教えていた。2人とも以前からアニメなど日本文化が好きだったこともあり、日本行きを決意したという。
2人は2009年11月に来日。当初は故郷が恋しくなることも少なくなかった。また、2人ともイスラム教徒で信仰上、口にすることができない食品があるため、スーパーなどへ買い物に行ってもひとつ一つ、品質表示のチェックに想像以上に時間がかかった。それだけではない。言葉の問題もあった。来日前の集中研修で日本語の基本は学んだが、和歌山の方言の意味が分からず困ったという。しかし、入所者や周りの職員に教えてもらい徐々に慣れていった。
入浴、食事の介助、レクリエーションなど2人の業務内容は幅広いが、ディナさんについて、彼女の指導にあたる田鶴苑の福島佳世子主任は「ディナさんはどんなときでも、いつも笑顔で、周りの職員にいい影響を与えてくれる」という。また、日高博愛園の女性入所者は「ニケンさんは優しくて、よく気が付く。インドネシアからきた人なんてことは少しも気にならない」と話している。
2人は、これからも日本でいろいろなことを学びたいとし、そのうえでディナさんは「助産師の経験を生かした仕事にも幅を広げられたら」、ニケンさんは「インドネシアで介護の知識を広めたい」と意欲的だ。