事故続出でパイロット規制強化 乗務時間違反者に罰則
インドネシアでは航空業界の給与水準が低いためパイロットの超過勤務の常態化が指摘される中、また安全性を揺るがすムルパティ・ヌサンタラ航空の事故が起きた。このため、運輸省は過労は事故の危険性を高めるとして、超過勤務の防止に乗り出した。
航空法の規定では旅客機パイロットの乗務時間の上限を1日9時間、月110時間、年1050時間と決めているが、これまでに70人の超過勤務が報告されているという。6月5日に開いた安全管理についての会合でパイロットが勤務時間の規定を破った場合の罰則を強化する方針を決め、各航空会社に法令の順守を徹底するよう伝達した。規定時間を1時間超過するごとに約50万ルピア(約5000円)の罰金を課すことを想定している。
現在のインドネシアのパイロット数は定期運航する16社で約8000人。2008年から旅客数は年15%ずつ増加しているのに対し、パイロットの増加率は同5.2%にとどまる。拡大する市場とは反対に、深刻化する人材不足も超過勤務問題に拍車をかけているとみられている。政府はパイロットの増員を図るため航空学校のカリキュラムを見直し、半年ごとに新規学生の受け入れを可能にするほか、今年新しい国立航空学校を北スマトラ州メダンと南スラウェシ州マカッサルに開設することを決めている。