中国「世界の工場」終焉 国際競争力低下で貿易失速

中国「世界の工場」終焉  国際競争力低下で貿易失速

象徴的な年初来の上海株式市場の軟調に加え、1月13日に発表された2015年の貿易統計が6年ぶりに前年実績を下回り、中国経済の先行きに対する投資家の不安感が一段と深まっている。
貿易失速は中国にとって極めてショッキングな出来事だ。2001年12月、世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、貿易は中国にとり最強の”成長エンジン”だった。世界の経済大国に上り詰める最大の武器だった。
しかし今、原材料や部品を輸入して、低廉な労働力を駆使した人海戦術で安価に組み立て、大量に海外諸国に輸出する加工貿易で「世界の工場」と呼ばれた時代が、明らかに終焉に向かっていることが鮮明になった。
この最大の要因は人件費高騰や労使紛争の頻発などで、中国製造業の国際競争力が大幅に低下していることだ。このため、日本を含む外資系の製造業で工場が相次ぎ中国から撤退。将来的に環太平洋経済連携協定(TPP)で有望な拠点になると目されるベトナムなどにシフトしており、中国の輸出産業は広範囲に地盤沈下を起こしつつある。