経済への短期的影響は不可避 長期的にはプラスの観測も
インドネシア政府は近日中に石油燃料値上げに踏み切る。前回値上げした2008年5月から5年ぶり、ユドヨノ大統領が就任して以来4度目となる。この間の急速な経済成長は燃料消費量を増大させ、財政負担は年々増加。就任直後の05年の国家予算で19兆ルピアだった燃料補助金は、昨年の支出が予算枠を50%以上上回る約212兆ルピアに達した。歳出全体の約15%を占め、さらなる値上げの必要性が高まっている。
今回の値上げでインフレ上昇や民間消費の冷え込みなど、短期的な経済への影響は不可避だ。第1四半期に6.02%だった経済成長率は、景気の先行き不透明感が高まる中、値上げの影響が出る第3四半期までに6%を割ることは確実視される。
ただ、短期的にはマイナスだが、長期的にはプラスとみるエコノミストもいる。金融市場が混乱する状況下での値上げを、投資家や格付け機関が評価すれば、現在の好景気を維持する可能性もある。物価上昇やルピア安などをどれだけ短期で食い止められるか。燃料値上げによる補助金の削減分を貧困層の補償プログラムだけでなく、今後の持続的な成長の土台となるインフラ整備にどれだけ効率的に振り分けられるか。経済への影響をできるだけ軽微に抑え、今後の経済成長確保に向けた道筋を示すことが、残り1年4カ月となったユドヨノ政権の大きな課題となる。