アジア最大級の中部ジャワ発電所建設計画に揺れる農村
アジア最大級の中部ジャワ石炭火力発電所建設計画で、のどかだった農村がいま用地買収を巡り、賛成・反対両派に分かれた住民が鋭く対立。事業主体に日本企業も加わり、日本が官民一体で進める大プロジェクトと目されていることから、反日感情も高まっているという。
場所はジャワ島中部、バタン県カラングヌン村。年3回コメを収穫できる豊かな土地だった。ところが、インドネシア政府が同地でのアジア最大規模の石炭火力発電所の建設計画を決定した以降、賛成・反対両派の対立はエスカレート。会ってもあいさつもせず、口論が始まる。冠婚葬祭も両派に分かれて別々に行う状況だという。こうした状況下では、当然、用地買収交渉は思うに任せない。また、このカラングヌン村へは第二次世界大戦中、日本軍が侵攻しているのだ。そんな歴史的背景も加わって、日本は昔は武力で、今度はカネで我々の土地を奪おうとしていると捉え、反日感情も高まっている。
事業会社の「ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)」は7月中に用地買収を完了、政府や企業側は10月の着工を厳守する姿勢を崩していないが、現地の状況から判断する限り、同計画はメドの立たない事態となっている。