米国の新型天然ガス「シェールガス」の増産が、インドネシアの発電用石炭および液化天然ガス(LNG)の輸出に打撃を与え始めている。
インドネシア東部ニューギニア島のLNG生産・輸出事業「タングー」。タングー産LNGは09年から日本、韓国、中国のほか米国向けに輸出してきたが、このうち「シェールガス」の増産に伴い米国企業が自国産ガスの調達に傾斜したことから、米国がタングー産LNGの一部購入を打ち切ることでインドネシア政府と合意した。
この背景には米国産ガスの圧倒的な価格競争力がある。日本などはLNGを100万BTU(英国熱量単位)当たり17㌦(約1462円)程度で輸入するが、米国は調達コストが同3㌦台に低下しているのだ。これに伴い、タングー産LNGは量的減少とともに輸出価格の下落にも直面することになる。
また、痛手を被るのが世界最大の輸出を誇る発電用石炭だ。エネルギーの軸足をガスに移す米国からの石炭流出に中国の成長鈍化も重なり、アジア市場での石炭の余剰感が増幅しているのだ。その結果、12月の標準価格は1㌧当たり81.75㌦で直近のピークだった11年10月の119.24㌦から急落している。これに伴いインドネシアの石炭大手が相次ぎ生産・投資計画を縮小し、鉱山用重機の需要が低迷しているという。