東京医科歯科大学の研究グループは9月25日、ヒトのiPS細胞から肝臓やすい臓など複数の臓器を同時につくり出すことに世界で初めて成功したと発表した。グループはまず、体の様々な組織になるヒトのiPS細胞を、胃や腸など消化器になる前の段階にまで培養した。そして、このうち比較的、胃に近い上部に変化する細胞と、小腸に近い下部に変化する細胞を組み合わせて培養したところ、肝臓とすい臓、そしてそれらをつなぐ胆管を同時につくり出すことに成功したという。また、これらの臓器で肝臓から液体が他の臓器に流れるなど、一定程度機能していることも確認できたとしている。今回ヒトの体内の環境と同様に、複雑に絡み合った複数の臓器を同時につくり出す新たな方法で、将来の移植につながる可能性があると期待されている。この研究は同グループが英国の科学雑誌ネイチャーに発表した。