インドネシアがアジアの海洋安全保障上の要に 米国、豪州、中国、韓国、欧州などが、インドネシアとの間で軍事面での連携や協力を競い始めた。これは各国が、それぞれの思惑は交錯しながらも、インドネシアをアジア海洋安全保障上の要衝地と見立てているためだ。
同国は世界最大のイスラム人口を擁するが、治安は安定している。加えて、テロや政変に揺れる中東・北アフリカ諸国とも穏健な関係にあることがその背景にある。米政府は中東イスラム世界への懸け橋の役割も期待しているという。また南シナ海の領有権問題でフィリピンやベトナムと対立を深める中国も、同海の利害で対立しないインドネシアとはパイプを築いておきたいというわけだ。
1月29日、NPOの米インドネシア協会がジャカルタで海洋安保協力に関するシンポジウムを開催した。米・インドネシア両国の海軍高官が出席し、連携をアピールした。昨年7月豪空軍は米国やシンガポール、タイと2年に1度実施している合同空軍演習にインドネシアを初めて招いている。米・豪は今年、インドネシアと災害対策の合同軍事演習も検討している。中国もインドネシアとの間で、年初行われた国防大臣クラスの会談後「相互に協力し、地域の平和と安定に貢献する」との共同声明を交わしている。