セイコー時計の”こだわり”のものづくり精神を講演
インドネシア日本友好協会(PPIJ)は11月14日、時計大手セイコーウオッチの服部真二社長(セイコーホールディングス会長)らを招き、中央ジャカルタのホテルで「第5回ものづくりセミナー」(後援:在インドネシア日本大使館、日本貿易振興機構、元日本留学生協会)を開いた。
今回はセイコー時計の歴史、ものづくりの理念・こだわりなど基本的な考え方の紹介と、組立・彫金の現場における技術者の実演も交えた内容となった。実演部分を担ったのが、盛岡セイコー工業内の雫石高級時計工房に所属し、高級機械式時計の組立師の桜田守氏と、彫金士の照井清氏。2人は「現代の名工」と称される厚生労働省の卓越技能賞に選ばれ、黄綬褒章を受章しており、集まった約100人の出席者は精密な作業を、静かに息を呑んで見守った。
じゃかるた新聞によると、冒頭に講演した服部社長は、腕時計づくりを開始した1913年から今日に至るセイコーの100年の歴史を紹介。世界的にもスイスをはじめ、部品ごとに別工場でつくる水平分業型が主流の時計づくりの業界で、セイコーは部品から組立まで1社で行う垂直統合型の、世界でも数少ないマニュファクチュール(一貫生産工場)であること。この点こそが同社のこだわりであり、これが優れた製品を生み出す-と強調した。インドネシアでは1968年にアジア・ジャヤ社と販売代理店契約を締結し、現在は専門店9店のほか、600店で販売しているという。
実演では、桜田氏は直径200ルピア硬貨ほどの基盤に、120個の部品をピンセットで取り付けていく作業を実演した。薄さは198㍉で、生産できるのは1日1個という。彫金は0.25㍉の薄さの板に、0.15㍉の深さで模様を彫る。照井氏は「もっと良いものがつくれる。もっと時間を縮められるという、貪欲さがないと工夫や努力をしない」とものづくりに対する心構えを話した。