アサハン・アルミ合弁売却交渉 遂に約570億円で合意
インドネシアスマトラ島のアルミ製錬事業「アサハン・プロジェクト」の合弁会社の株式売却交渉で、12月9日、インドネシア政府が株式100%を取得することで双方が合意した。日本側は10月に売却条件を不服として、国際調停機関に仲裁を求める方針を示していたが、争いは回避された。
日本とインドネシアの共同アルミ製錬事業「アサハン・プロジェクト」の合弁会社インドネシア・アサハン・アルミニウム(イナルム)の株式は、日本協力機構(JICA)と住友化学など11社か出資する日本アサハンアルミニウム(NAA)が58.88%、インドネシア政府が41.12%を保有。今年10月31日の30年間の両者の合弁契約終了を前に、インドネシア政府は日本側の持ち分をすべて取得し、国有化する考えを示したが、イナルムの資産価値=株式の評価額を巡り、双方の主張が食い違い、交渉は難航。日本側が売却条件を不服とし、世界銀行の調停機関、投資紛争解決国際センター(ICSID)に仲裁を求める方針をインドネシア政府に伝えていた。
今回の合意に伴い、NAAの岡本敬彦社長が合弁を解消する契約を締結。30年の歴史に幕を閉じた。地元各紙(電子版)によると、ヒダヤット産業相は契約調印から5日以内にNAAへ、イナルム株の代金として5億5670万米㌦(約574億円)を支払うと説明した。