国連教育科学文化機関(ユネスコ)の執行委員会は4月15日、「世界の記憶」(世界記憶遺産)の審査で、関係国間で見解が異なる資料の申請を念頭に、加盟国による異議申し立てを認め、関係国が期限を設けずに対話を続けるとする制度改革案を承認した。
日中で犠牲者数などに論争がある「南京大虐殺」に関する資料が2015年に登録されたことを機に、日本政府が「政治利用されている」と訴えるなど改革を求める声が高まっていた。従来、記憶遺産は文書管理の専門家による国際諮問委員会の勧告に基づき、事務局長が登録を承認していた。
今回の改革案では、登録の可否を執行委員会で決定し、その際に加盟国間の合意が必要となる。改革案が合意されるまで新規の登録申請を停止していたが、年内に再開する。