新型コロナワクチン接種を加速させ、国内の接種回数で人口に相当する14億回分を突破する見通しとなっている中国ワクチン。中国は新興国や途上国に中国製ワクチンを供給し、影響力の拡大を図る「ワクチン外交」も活発化させている。ところが、ここへきて中国製ワクチンに対し、極めて強い逆風が吹き始めている。シノバック、シノファームを導入した国々でワクチンの効果を疑問視する指摘が相次いでいるのだ。
米ニューヨーク・タイムズ紙は6月22日、「中国製ワクチンに頼った国は今、感染拡大と闘っている」とする記事を掲載。主に中国製を採用したチリやモンゴルなど4カ国は、人口の50~68%が接種を終えたにもかかわらず、感染が拡大し、世界で最も感染状況が悪化している10カ国に含まれると指摘している。
ロイター通信によると、インドネシアではシノバックのワクチン接種を受けたとみられる医療従事者350人以上が感染したと伝えている。また、フランス国際放送局RFI(中国語版)によると、シンガポールはシノバックの分をワクチン接種の統計に含めていない。現時点で効果を示す科学的なデータがないためだ。
中国製ワクチンの接種完了後に、別のワクチン「ブースター接種」(追加接種)に取り組む国もある。アラブ首長国(UAE)とバーレーンはいち早くシノファームワクチンを採用した。だが、接種が進んでも感染が収まっていない。このため、中国製のワクチン接種が完了し、6カ月以上経過人を対象にファイザー製のワクチン接種に乗り出している。