中国不動産大手・恒大集団 経営危機で世界同時株安

中国の不動産開発大手、恒大集団(本社:中国広東省深圳市)が、巨額の債務を抱えて経営破綻の瀬戸際に追い込まれている。
同社は同国内最大級の民間複合企業で、現在280以上の都市で事業を展開、中国政府が推し進めてきた改革開放路線のもと、ここ数十年、不動産開発事業で急成長を続けてきた。これにより、国内で20万人の直接雇用と380万人の間接雇用を創出しているという。
このため、同社の破綻は中国経済のみならず、場合によっては世界経済にも波及しかねない懸念がある。こうした思惑を受け、9月20日の中国や欧米主要国の市場で同時株安となった。ただ、今のところ米国に拠点を置く投資家の間では影響は限定的で、2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻時のような事態になる可能性は乏しいとの見方が多い。
同社はここ数年、中国国内の不動産バブルを追い風に買収を積極的に行い、業容拡大してきた。しかし、2021年に入ってから負債総額が1兆9,700億元(約33兆5,000億円)に膨れ上がっていることを公表、デフォルト(債務不履行)に陥るリスクがる」と警告している。同社の株価は今年になって約80%下落。請負業者やサプライヤーからは支払いが滞っているとの苦情が聞かれ、また債権者からも返済を求める声が挙がっている。
不動産業は中国経済のけん引役の一つ。ウイズコロナ、アフターコロナの経済再建に向け重要な役割を担っている。それだけに業界を代表する大企業が破綻すれば、多方面への影響は必至だ。いずれにしても中国政府が事態をどう判断し、どのような施策を講じてくるのか、注目される。