洪水が政争の具に「15カ月で被害をなくせるわけはない」
4月の総選挙と7月の大統領選挙を控え、ジャカルタ首都圏の増大する洪水被害を巡り、政党間の批判、非難がヒートアップしており、ジャカルタではいま被害に苦しむ市民をよそに洪水が”政争の具”になりつつある。
地元メディアによると、国民信託党(PAN)のアミン・ライス最高顧問は1月19日、ジャカルタ洪水被害の拡大について「ジョコウィ知事は市民に謝罪すべきだ」と責任を追及、ジョコウィ氏の洪水対策は十分ではないと指摘した。PANは党首のハッタ氏が経済調整相として政権内にいるため、アミン氏が人気の高いジョコウィ氏と、所属の闘争民主党(PDIP)の支持率を、少しでも落としたい思惑があるのだ。ジョコウィ氏への牽制はPANだけではない。15日には民主党の議員が「選挙公約の洪水克服が守られていない」、ゴルカル党の州議会議員も「知事がしっかり働いていれば、こんなに被害は広がっていない」などと批判している。
こうした批判や非難に対し、ジョコウィ氏側は「知事就任から15カ月で被害をなくせるわけはない」と反論。PDIPの副幹事長はチリウン川やプルイット、リアリオ貯水池の改修などの実績を強調するとともに、洪水は周辺自治体や中央政府とも協力が必要で、州政府単独での取り組みは困難と強調した。ジョコウィ氏も16日、河川管理の責任者は中央政府にあると指摘し、協力体制の重要性を説いている。