”統制”色濃い五輪に終始 遠かった「平和の祭典」ムード

北京冬季五輪は2月20日、閉幕した。新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るい、新疆ウイグル自治区をはじめとする人権問題に対する外交ボイコットなどなど。世界から厳しい視線が注がれる中、中国政府は人権批判には取り合わないまま、選手らのSNS(交流サイト)への投稿や報道に対して、統制色の強い対応に終始した。その結果、本来どこの国が開催国であっても、あるべきはずの「平和の祭典」ムードは全く醸成されないまま終わった。
主役の選手たちの頑張り、夢をかなえた選手、目標に届かなかった選手、コンディション不良を押し隠し選手生命を懸けた選手など、様々な事情を抱えた中で、精一杯燃焼し尽くした選手らに心からエールを贈りたい。
ただ、こうした中で国際オリンピック委員会が出した「コロナ下で様々な政治的緊張がある中でも、五輪精神を発揮した素晴らしい大会となった」のコメントは、選手たちの頑張りとは別に、開催国だけに忖度した、現実を全く反映しない、あるいは見ようとはしない、ちぐはぐなものだった。