国連の人口予測でインドが2023年にも中国を抜き、人口で世界一になる見通しとなった。2027年頃としていた2019年の前回予測から、4年も早まった。今後予想される中国の人口頭打ちもしくは減少は、国力低下に直結しかねず、深刻さを内包している。
それは少子高齢化に歯止めがかからないことと、生産と消費を支える若い世代を中心に、生産年齢人口が減少し、経済成長の鈍化が避けられないからだ。
中国は36年続けた「一人っ子政策」の副作用で、解除後も出生率が低下したまま。その結果、2021年は人口に占める65歳以上の割合が14.2%と過去最大となる一方、総人口は前年比わずか48万人増にとどまった。
子育て費用の高止まりに加え、新型コロナウイルスの流行で結婚や出産を控える心理が働いたとみられ、専門家からは2022年の人口増は望めずゼロになるとの悲観論さえ出ている。高齢化の進行に伴い、年金など社会保障費の増大が財政を圧迫する。2021年の社会保障費は約69兆円となり、この10年で2.7倍に膨れ上がっている。