インドネシアでKPKの権限弱める動き 市民団体ら反発
インドネシアにおける大型汚職事件の独立捜査機関、汚職撲滅委員会(KPK)の権限を制限、大幅に弱める動きが表面化してきた。刑法と刑訴法の改正案でKPKの権限を大幅に縮小する条項が多数盛り込まれていることが判明。KPKや市民団体は、残りの任期わずかの国会が、十分な審議を経ずに法案を制定すべきでないと反発の声をあげている。地元各紙が報じた。
刑訴法の改正案で問題になっているのは刑事事件の予備審理を担当するために新設する裁判官だ。改正案では予備審理裁判官は容疑者の保釈や通信傍受、捜索差し押さえの可否などを判断すると規定。これまでKPKが独断で実施し、汚職犯の賄賂授受の現行犯逮捕を可能にしてきた通信傍受も同裁判官の許可を得ることを義務付けている。
また、驚くことに下級審で無罪判決が下った場合、被告の刑は確定し、被告、検察(KPK)両者とも上訴できないと規定。さらに、上級審の量刑は下級審判決を上回ってはならないとする条項案なども盛り込まれている。。
こうした動きを受け、これまでのような捜索手法が不可能になるKPKは、大統領や法相、国会宛てに文書を送り、改正案の撤回を求めているが、これまで法務人権省は撤回には応じない姿勢を示している。