5/1から産業用電力料金の引き上げ実施 救済措置検討
インドネシア政府は5月1日から、財政を圧迫している電力補助金削減のため、大規模産業向け料金の段階的値上げに踏み切った。ただ、産業界からは期間や値上げ幅の再考を求める声が多く、政府は優遇措置を用意して対応する構えだ。地元メディアなどが報じた。
エネルギー鉱物資源省のジャルマン電力局長は4月30日、「ルピア安による化石燃料の上昇で電力補助金は膨らみ続けており、2014年は13年の不足分と合わせ71兆4000億ルピアが計上され、国家財政を大きく圧迫する事態となっている」と窮状を語った。このため「補助金削減は急務で(今回の値上げにより)、政府試算では今年だけで約8兆9000億ルピアの削減につながる」としている。
今回の電力料金の段階的値上げ、2カ月ごとに6カ月間で計4回、生産工程で電力を多く消費する素材産業など「Ⅰ4」が最大で計64.7%もの引き上げになるだけに、産業界からは値上げが急すぎるとの批判が根強い。これに対し、同局長は特定の産業に優遇措置を設ける法案を近く国会に提出することを明らかにした。どの業界にどの程度の優遇措置を与えるかなど詳細は現在検討中という。
政府は値上げ以外で民間の協力を促すしくみ作りも検討している。民間の電力供給を可能にする「パワーホイーリング」を15年初めに実施する予定だ。同制度では国営電力PLNから電力を購入するほか、企業の電力自家発電を支援する。