ベトナムで「反中国」の波拡大 日系企業にも被害

ベトナムで「反中国」の波拡大 日系企業にも被害

 南シナ海での中国の石油掘削作業強行に端を発した、中国とベトナムの艦船衝突を受け、ベトナムで「反中国」の波が拡大している。南部ビンズオン省で中国に抗議するデモ隊約2万人が暴徒化。複数の中国系工場が放火され、一部の日系企業も巻き添えを食って操業停止を余儀なくされた。また、中国製品の不買運動も始まり、地域の製造業のサプライチェーン(部品供給網)に影響が及ぶ恐れも出てきた。日本経済新聞などが報じた。

 デモ隊は13日夜から14日にかけて、同省の工業団地で中国系工場の窓ガラスを割ったほか、敷地に侵入して備品を略奪。香港系縫製工場など少なくとも15工場に放火した。日系や台湾系、韓国系の工場でも被害が発生。建物の漢字表示が中国系工場と同一視され、巻き添えを食ったとみられる。日系は6工場が投石被害などを受けた。14日は多くの工場が社員の安全確保のため、操業を休止したもようだ。工場に日本国旗を掲げるなどしてデモ対策に乗り出した企業もあった。

 デモは近隣のドンナイ省やホーチミン市に広がり、現地メディアによると、約630人が拘束された。同市の日本人学校は15日の臨時休校を決めた。デモは北中部にも広がっている。

 首都ハノイ市のコンビニエンスストアは店頭に「中国製品は売りません」と掲示。中国製の文房具などが棚から消えた。観光地では中国人観光客を敬遠する動きも目立ってきた。南部のリゾート地、ニャチャンのホテルでは「中国人にはサービスを提供しません」と書いた紙を入り口に掲げ、事実上、宿泊を拒否し始めたという。