生息地の開発で追い詰められるスマトラオランウータン
インドネシアのスマトラオランウータンの生息地が、パーム油プランテーション開発による違法な火入れ、排水、伐採などの進行によりどんどん奪われつつある。原生林や泥炭地の新規プランテーションへの転換は一時的に禁止されているにも関わらず、企業の保全地域の開発許可が取り消されていないからだ。こうした企業は現在提訴されているが、判決までに時間がかかるため、いまなお森林の排水や火入れが進んでいるという。
自然保護団体によると、絶滅危惧種のスマトラオランウータンはインドネシアに6600頭ほど生息している。スマトラ島北西部アチェ州の森林・泥炭地「ラワ・トリパ」には、オスの「アバター(Avatar)」をはじめ200頭以上が暮らす。トリパは世界でも有数のオランウータンの生息地で、同国政府が豊かな生物多様性を維持する目的で自然保全地域として指定した「ルスル自然地域」内にある。スマトラ島では、スマトラオランウータンを保護するプログラムが進み、獣医師らによりアバターを保護区へ移送する作業が進められつつあるという。