首都圏洪水対策進捗するも、移転問題で揺れる住民
インドネシアで首都圏洪水対策の要のチリウン川治水事業が急ピッチで進めらるとともに、ジャカルタ特別州のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)知事が提示している州営住宅を建設・提供する案をめぐって、洪水地帯に住んでいて移転要請を受けている地域の住民たちが揺れている。
住民たちは、前任の知事時代の移転計画には頑強に反対してきた。しかし、現知事は州営の住宅を建設し提供する案まで提示し解決に乗り出してきた。当該住民の多くは繰り返されてきた洪水に、川沿いの地区に住む怖さを熟知し、できるなら素直に移転計画に従いたいところだ。
ところが、現在伝えられるところでは移転後の生活プランが描けないのだ。問題の本質は家賃だ。現行の家賃、月40万ルピア程度に対し、移転に応じれば70万~80万ルピアは覚悟しなければならないという。倍近くになるわけだ。もちろん地区により、家賃には上下幅はあるのだろうが、いずれもこれまでの家賃より、かなり負担が増えることに頭を痛めているというわけだ。
ジョコウィ知事は、就任直後の昨年11月からチリウン川治水に伴う移転を提案し、州と住民はこれまで4回会合を開き、知事も2回同席している。本腰を入れた州の姿勢に住民は期待と困惑の入り交じった表情で事態をみつめている。