日中防衛相会談 現状変更の試みに「強い懸念」懸念

岸信夫防衛相は6月12日、訪問先のシンガポールで中国の魏鳳和国務委員兼国防相と会談した。この会談で岸氏は、日中間には安全保障上の問題を含め多くの懸念材料があることを指摘し、とりわけ中国が沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東・南シナ海で、力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続していることに「強い懸念」を伝え、自制を求めた。
両氏は自衛隊と中国軍幹部間のホットライン(専用電話)の早期開設に向け、調整を加速させることで一致した。そして今後、率直な意見交換を通じ、両国間の協力関係を強化するとともに、建設的で安定的な関係の構築を目指す意向を示した。
日中防衛相の対面での会談は、2019年12月以来2年半ぶり。

岸田首相「国際法・ルールの順守を」講演

岸田首相は6月10日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で講演し、国際法やルールの順守を訴えた。冒頭でウクライナ侵攻について、「この会場におられるすべての方々、国々が”我が事”として受け止めるべき」と強調。ウクライナ侵攻は「対岸の火事ではない」と指摘した。
これらは、ウクライナ侵攻についてアジア諸国の受け止めに、はっきりと温度差があることを踏まえた発言だ。また、岸田氏は中国を念頭に東・南シナ海などにみられる、現状変更の試みを批判した。

日本 非常任理事国に選出 5年ぶり最多の12回目

国連造会で6月9日、安全保障理事会の非常任理事国のうち5カ国が改選され、日本、モザンビーク、エクアドル、マルタ、スイスの5カ国が選出された。日本は加盟国最多の12回めの当選となった。任期は2023年1月からの2年間。前回の2016年〜2017年以来5年ぶりとなる。
林芳正外相は今回の選出を受け「各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じ、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化を目指す」との談話を発表した。
安全保障理事会は、拒否権を持つ米英仏中ロの常任理事国5カ国と、毎年5カ国が改選となる非常任理事国10カ国で構成される。国連で唯一、加盟国への法的拘束力のある決議などの措置を実行できる。

日本 ウクライナに650億円の緊急追加支援

日本政府は6月7日、ウクライナ650億円の「緊急経済復興開発政策借款」を実施することで、同国と書簡を交わした。都内で同日、鈴木貴子外務副大臣と、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使が書簡に署名した。
今回の追加供与により、同国への有償資金協力額は780億円となる。

マレーシアと「特定技能」制度運用で協力の覚書

外務省は5月27日、国内関係省庁と連携しマレーシアとの間で、在留資格「特定技能」を有する外国人に係る制度の適正な運用のための情報連携の基本的枠組みに関する協力覚書を締結したと発表した。
この協力覚書は、両国が一定の専門性・技能を有する人材(特定技能外国人)の円滑かつ適正な送り出し・受け入れの確保(特に悪質な仲介機関の排除)および特定技能外国人の日本での在留に関する問題の解決等のための情報連携および協議の基本的枠組みを定めている。

中国 南太平洋10カ国との安保協定で合意失敗

中国の王毅国務委員兼外相は5月30日、訪問先のフィジーで南太平洋を中心にした10カ国と外相会議を開いた。国内外のメディアによると、この会議で中国は10カ国と安全保障、警察、貿易、データ通信、インフラ整備などで協力する協定案を示したが、合意に至らず、継続協議となり不調に終わった。

日本・マレーシア首脳 法の支配で秩序維持を確認

岸田首相は5月27日、首相官邸でマレーシアのイスマイルサブリ首相と会談し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持する重要性を確認した。中国による南シナ海での人工島建設や、中国とマレーシアの間の領有権問題を念頭に置いたもの。
岸田氏は、東・南シナ海での力を背景とした一方的な現状変更の試みに強い反対を表明。両氏はロシナのウクライナ侵攻に関し、いかなる国に対する侵略も認められないとした。
また両氏は、米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)の始動を歓迎。「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力していきたい」と語った。

WHO総会 ロシア非難決議を採択 医療施設攻撃

世界保健機関(WHO)の総会は5月26日、ロシア軍によるウクライナの医療関連施設などへの攻撃を強く非難する決議を採択した。ウクライナの人々の健康に深刻な傷害をもたらしていると指摘し、医療従事者や患者、人道支援関係者の保護を求めている。
決議は日本、米国、欧州諸国が提案。賛成88票、ロシアや中国などの反対が12票だった。

ASEANとの関係強化へ 来年新ビジョン 首相表明

岸田首相は5月26日、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の関係強化に向け、新たな関係の方向性と協力のビジョンを来年打ち出すことを表明した。企業間交流も活発化させ、双方の企業による協業を毎年100件以上生み出すとの目標も示した。アジアの経済展望をテーマにした東京都内での講演で明らかにしたもの。