「飛行の自由」協力強化 日・ASEAN 中国念頭に
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国は12月14日、東京・元赤坂の迎賓館で、日本・ASEAN交流40周年を記念して特別首脳会議を開いた。安倍首相は会議で、5年間で2兆円の政府開発援助(ODA)を供与する方針を表明した。これはインフラ整備など域内の格差縮小を目指す支援で、うち3000億円は防災体制の強化に充てられる。また、2015年のASEAN経済共同体創設の支援となる日本・ASEAN統合基金(JAIF)に1億㌦の拠出も表明した。会議ではブルネイのボルキア国王が「日本はこの地域の平和と繁栄に大きく貢献してきた」と評価した。
会議後、中国が東シナ海に設定した防空識別圏を念頭に「飛行の自由及び民間航空の安全を確保するための協力を強化すること」などをうたった共同声明を採択した。共同声明の骨子は①飛行の自由を、民間航空の安全の確保に向け、協力を強化。国際民間航空機関(ICAO)のルール尊重②海洋安全保障に関し、平和的手段による紛争の解決を推進③日本とASEANの経済連携や貿易の一層の拡大を提唱④防災や災害救援、防衛交渉の協力拡大⑤北朝鮮に非核化を要求。拉致問題に取り組む重要性を指摘-など。ただ、ASEAN域内には中国と関係が深い国もあり、実際の対応では温度差が生じるのは必至だ。
今回の特別首脳会議にはASEAN10カ国の9首脳が出席、政情不安のタイのみ副首相が代理出席した。
日・イ首脳会談 安保で外務・防衛閣僚会議開催で合意
日・イ首脳会談 安保で外務・防衛閣僚会議開催で合意
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席のため訪日中のインドネシアのユドヨノ大統領は12月13日、安倍首相と会談し、アジア地域の安定に向け両国の関係強化が不可欠との認識で一致。南シナ海の防空識別圏の問題も踏まえ、安全保障分野での協力強化を図っていく方針を確認した。今後、両国の外務・防衛担当閣僚が一堂に会する協議を開催することで合意した。
ジャカルタ特別州で世銀融資の緊急浚渫治水事業開始
ジャカルタ特別州で世銀融資の緊急浚渫治水事業開始
ジャカルタ特別州政府は12月11日、世界銀行の融資による治水事業「ジャカルタ緊急浚渫(しゅんせつ)事業(JEDI)」の一つを開始した。中央ジャカルタのモール「グランド・インドネシア」に近いムラティ貯水池で地鎮祭を行った。ジョコウィ知事は2年以内に完了するよう要請した。JEDIは貯水池改修のほか、チリウン川の北ジャカルタ・グヌンサハリの流域5.1㌔、中央ジャカルタ・メンテンのグレシック水路2.4㌔などの浚渫、改修事業を含む。今回世銀が融資する治水事業JEDI7件のうち州政府が3件、公共事業省が4件で、融資額1億3900万㌦(約140億円)のうち州分は6900万㌦、公共事業省分7000万㌦。
スマトラ縦断鉄道 2014年から建設工事が本格化
スマトラ縦断鉄道 2014年から建設工事が本格化
インドネシア運輸省は2014年から、アチェからランプンをつなぐスマトラ縦断鉄道(全長2168㌔)の建設を本格化させることを明らかにした。建設費は約64兆ルピア。経済特区に指定されている北スマトラ州のセイ・マンケ~クアラ・タンジュン間(44㌔)は今年7月から建設が始まっており、同区間は15年の完成を目指している。
その後、メダンや南スマトラ州などの経済成長が顕著な都市に敷設を進めるという。建設費用は1㌔当たり350億~400億ルピアになる予定。現在、スマトラ島の鉄道全長は1869㌔だが、実際に運行可能なのは1348㌔にとどまっている。この縦断鉄道完成後には1年間で4800万人が利用すると試算されている。
オフィス賃料の上昇率でジャカルタが世界一に C&W
オフィス賃料の上昇率でジャカルタが世界一に C&W
米系不動産コンサルティングのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はこのほど、2013~15年の3年間でジャカルタが世界一の上昇率になるとの、世界主要都市のオフィス賃料の調査予測を明らかにした。地元紙が報じた。現地法人によると、ジャカルタのオフィス賃料はこの2~3年間は年率30~40%の上昇率だったが、今年から14年にかけてやや鈍化。14年は15%、15年は10%と予測している。14年のオフィス需要は前年比25%増となる見込みだが、新規のオフィスビルの供給が増加することを勘案したものだ。異常ともいえるジャカルタ中心部の賃料上昇を嫌気して、中心部から外れた地域へ移転する動きもみられるという。世界全体の傾向を見ると、14年は賃料の上昇が鈍化。アジア・太平洋地域の上昇率は1~2%にとどまるとみている。
市民の生活重視の予算配分に評価の声 ジョコウィ州政
市民の生活重視の予算配分に評価の声 ジョコウィ州政
2年目の当初予算審議に入ったジャカルタ特別州のジョコウィ州政に、市民の間で好評価の声が上がっている。これは同知事が都市環境の整備や生活支援を重視し、とりわけ低所得者層の医療や教育支援といった市民目線で、恩恵を実感しやすい分野を着実に前進させている印象があることがその要因とみられる。
ジョコウィ知事はこれまで①低所得者層向け医療サービス「保健カード(KJS)」②無料で教育を受けられる「教育カード(KJP)」プログラム-を導入し、大きな混乱もなく運営している③渋滞緩和を目的に、懸案だった中央ジャカルタ・タナアバンの露天商移転なども成功させた-などの成果を挙げたとされる。
英字紙ジャカルタ・ポストは「全予算の執行を55%に抑えつつも、市民は直接的に恩恵を受けられる」との西ジャカルタ・トリサクティ大学の都市開発の専門家のジョコウィ施政評価の声を紹介している。2014年の予算の歳入は前年比53%増の62兆2100億ルピアを見込む。これはファウジ前州政が07年から5年掛けて伸ばした割合とほぼ同じだ。州の経済成長の実態に合った歳入を得られるようになったとの評価もある。
トランスジャカルタで車両倍増計画もCNG不足が課題
トランスジャカルタで車両倍増計画もCNG不足が課題
首都の交通渋滞緩和策の一つとして、専用バスレーンのトランスジャカルタで、石油代替燃料として圧縮天然ガス(CNG)利用の車両拡大方針が打ち出されているが、肝心のCNGの供給が追い付かないとの懸念が指摘され、問題視される事態となっている。
ジャカルタ特別州はCNG利用の車両数を現行の約540台から、2014年は500台を追加導入、ほぼ倍増させる計画だ。ところが、燃料のCNG供給がおぼつかない。同州内には9カ所のCNG供給所があるが、常時、順番待ちの長い列ができている状態だという。つまり、現状でも車両数に対応した供給体制が整っていないというわけだ。したがって、罰則を強化して専用バスレーンの渋滞をなくし、車両数を増やしても、燃料不足で実際に走る車両の数が制限されるならば何の対策にもならない。
こうした状況に対応、ジョコウィ知事は5カ所のCNG供給所を新設するほか、20台の移動式CNG供給車を導入するとしている。一方、公共サービス機関(BLU)トランスジャカルタ社は、15年までにCNGを利用するバスを3500台まで増やす計画だ。
南ジャカルタで電車とタンクローリーが衝突事故
南ジャカルタで電車とタンクローリーが衝突事故
インドネシアの首都ジャカルタ南部ビンタロ地区の踏み切りで12月9日、列車とガソリンを積んだタンクローリーが衝突。列車は脱線、横転し、タンクローリーとともに炎上した。この事故で先頭車両は黒焦げになり、警視庁によると死者5人、91人が負傷し、南ジャカルタのスヨト病院やプルタミナ病院に搬送された。警視庁と国家安全運輸委員会は事故原因の調査を開始した。日本人がこの事故に巻き込まれたとの情報は入っていない。
列車は8両編成で、バンテン州タンゲラン県スルボンから中央ジャカルタのタナアバンに向かっていた。乗客は約200人。タンクローリーは2万4000㍑のガソリンを積んでいた。
6カ月以上滞在する外国人にも加入義務 SJSNの保険
6カ月以上滞在する外国人にも加入義務 SJSNの保険
地元ニュースサイトによると、国家健康保険アスケスは、2014年1月に始まる国家社会保障制度(SJSN)の健康保険への加入を外国人にも義務付けることを明らかにした。仕事でインドネシアに6カ月以上滞在する外国人が対象となる。アスケスのエンダン取締役は、政府が義務付けており、外国人の非加入を認めないと強調している。
SJSNの当初のインドネシア人加入者数は、アスケスの加入者1640万人と貧困層向け医療制度(JANKESMAS)の8640万人、これに警察官や軍人を合わせ1億1000万人となる予定だ。アスケスは2014年1月からSJSNの健康保険事業を担う社会保障実施機関となる。
無線ICタグによる給油監視 首都で今月中に導入
無線ICタグによる給油監視 首都で今月中に導入
地元ニュースサイトによると、国営石油プルタミナは、ジャカルタで今月中に給油所にRFID(無線ICタグ)システムを導入することを明らかにした。補助金対象石油燃料の供給制限に先立ち、まずシステムを導入し、使用量の監視体制を整える。首都の給油所263カ所を無線ICタグのシステムに対応させる。
プルタミナ社によると、無線ICタグを付けた自動車は7万台に達している。政府が供給制限に関する規定を施行すれば、タグがない自動車は補助金燃料を給油できなくなると説明。車両の所有者にタグの取り付けを急ぐよう求めている。