24年介護倒産は最多の784件 訪問介護67.5%占める

東京商工リサーチのまとめによると、2024年に倒産や休・廃業した介護事業者は合わせて前年比24.0%増の784件で調査開始以来、最多となった。内訳は倒産が前年比40.9%増の172件、休・廃業が同20.0%増の612件でいずれも過去最多だった。
休・廃業のうち訪問介護は同24.4%増の448件と73.2%を占めた。以下、通所・短期入所が同5.4%減の70件、有料老人ホームが同92.3%増の25件、その他同9.5%増の69件だった。この結果、訪問介護が倒産、休・廃業合わせ同23.8%増の529件と前年から102件増え、全体の67.5%を占めて、とりわけ苦境にあることが浮き彫りになった。
倒産・休廃業の主な要因は①ガソリンなど物価高騰でコストが増大②2024年4月の介護報酬改定で訪問介護だけ基本報酬が引き下げられたーーなどのため。

ソニーG, 大和ハウス 大卒初任給31万〜35万円に引き上げ

ソニーグループ、大和ハウス工業は4月から大学新卒の初任給を大幅に引き上げ、31万〜35万円にする。
ソニーグループは2025年度からの大卒の新入社員の初任給をこれまでより10%以上増やし、31万円余に引き上げる。冬のボーナスを段階的になくし、その分、月給を増やすことも決め、待遇の改善に加え、安定的に収入を得られる環境にすることで、人材獲得につなげる考え。ソニーグループによると、今年4月入社の正社員の初任給を大卒、大学院卒とも増やし、大卒の場合、31万3,000円(14%増)、大学院卒の場合、34万3,000円に引き上げる。
大和ハウス工業は4月から新卒の初任給を一律10万円引き上げ、大卒の場合、現行の25万円から35万円とする。また、正社員およそ1万6,000人を対象に年収ベースで平均10%の賃上げを実施する。賃上げにあたり、業績に左右されないベースアップ相当分として、いずれも平均で月額9万2,945円(23.5%)引き上げる。この一方で、ボーナスは引き下げる給与体系の見直しも行う。

旧優生保護法 被害者への補償法1/17施行 請求受け付け開始

旧優生保護法のもとで不妊手術や人工妊娠中絶を強制された被害者への補償を行う法律が1月17日施行され、全国の都道府県の窓口で補償金を受け取るための請求の受け付けが始まった。
2024年10月に成立した新たな法律では、不妊手術を強制された被害者本人に1,500万円、配偶者に500万円の補償金を支給するほか、人工妊娠中絶を強制された本人に200万円を一時金として支給する。などとしている。
こども家庭庁によると、不妊手術を受けた被害者本人またはその遺族がおよそ2万5,000人、配偶者またはその遺族がおよそ7,600人、中絶手術を受けた人がおよそ1万5,000人などと推計され、支給額は合わせておよそ4,710億円と見込んでいる。

エーザイの認知症薬 米国FDAが申請受理 自宅投与が可能に

エーザイ(本社:東京都文京区)は1月14日、米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の皮下注射製剤の承認申請について、米食品医薬品局(FDA)が受理したと発表した。8月31日までに審査を完了する。承認されれば、米国では自宅での薬剤投与が可能となる。皮下注射製剤は週1回専用のペン型注射器で投与し、平均15秒で投与できる。通院や看護の負担を軽減できる。
レカネマブは米国、日本、中国、韓国など10カ国・地域で承認を取得。欧州(EU)など17カ国・地域で承認申請している。

24年介護事業者倒産 前年の1.4倍の172件で過去最多に

東京商工リサーチのまとめによると、2024年に確認された介護事業者の倒産は全国で前年の1.4倍の172件にに上り、介護保険制度が始まった2000年以降で最も多くなった。恒常的な介護職員の不足や物価の高騰が主要因。
倒産事業者の内訳は「訪問介護」が最も多く81件と全体の半数近くを占めている。次いでデイサービスを提供する「通所・短期入所」が56件、「有料老人ホーム」が18件などとなっている。負債総額は229億円余で、従業員数が10人未満の小規模な事業所が8割以上を占めている。

団塊の世代全員 後期高齢者に 医療・介護体制拡大が課題

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年は約800万人が新たに75歳以上となり、第1次ベビーブームの時代(1947〜1949年生まれ)全員2,154万人が後期高齢者となる。その結果、後期高齢者の75歳以上が、全人口のおよそ5人に1人の割合となる。
近年、経済・社会問題として様々に指摘されてきたことだが、いよいよ「2025年問題」に直面する年となる。医療や介護を必要とする人がますます増加し、国としてこうした人たちを支える体制をどのように拡大、充実させていくかが大きな課題となる。

技能実習生など外国人労働者の14%トラブル抱える 厚労省

厚生労働省は12月26日、技能実習生や特定技能、永住者ら日本で働く外国人労働者について、就職・転職状況や賃金など労働実態に関する初めての調査結果を公表した。この結果、外国人労働者の14.4%が、紹介費用や仕事内容などを巡って、トラブルを抱えていたことが分かった。
調査は2023年10〜11月に行い、労働者1万1,629人と雇用する3,534事業所から回答を得た。労働者の在留資格別では技能実習が最多の22.8%、永住者が18.9%、特定技能が11.9%だった。
まず就労上のトラブルの有無を尋ねると、14.4%が「ある」と回答。内容別(複数回答)では「紹介会社(送り出し期間含む)の費用が高い」が19.6%で最も多かった。次いで「説明以上に高い日本語能力を求められた」(13.6%)、「仕事内容について説明がなかった」(7.3%)など、受け入れ事業所側の説明の不備を訴える回答も目立った。
月の平均賃金は26万7,000円で、特定技能が23万2,000円、技能実習が20万4,000円。大学の研究職や経営者など高度専門職は60万円で頭抜けて高かった。
事業所が外国人を雇用する理由(複数回答)は「労働力不足の解消・緩和」が64.8%で最多。雇用上の課題では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が44.8%で突出して多かった。
外国人労働者の43%就職・転職の方法として、SNSを含む「知人・友人」を挙げており、ハローワークを利用したのはわずか3.9%にとどまっている。

「マイナ保険証」利用登録の解除申請1万3,000件余に

厚生労働省は12月19日開かれた専門部会で、11月末までに「マイナ保険証」について、利用登録を解除する申請が1万3,000件余りに上ったことを明らかにした。マイナ保険証の利用に不安を感じた人たちが登録を解除しているとみられる。
12月2日に健康保険証の新規発行が停止され、本格的な運用が始まったことで、今後さらにマイナ保険証の利用登録が進むとみられる。事実11月末までの1カ月間でマイナ保険証への利用登録はおよそ127万2,000件増加した。ただ、その一方で利用登録を解除する動きも出ているのだ。マイナ保険証の利用登録を解除すれば、従来の健康保険証と同様に使える「資格確認書」というカードで医療機関での診療は受けられるから、大きな問題はない。

25年4月 帯状疱疹の予防ワクチン 定期接種に 原則65歳対象

厚生労働省は12月18日、帯状疱疹を予防するワクチンについて、2025年4月、公費で補助する「定期接種」とすることを決めた。原則65歳が対象だが、65歳を超えた人は2029年度までの5年間に接種機会を設ける。帯状疱疹は加齢や疲労などによる免疫力低下で発症。ピリピリした痛みや水ぶくれを伴う発疹を招く。