建設現場のアスベスト(石綿)による健康被害を訴えた集団訴訟で、国の責任を認める最高裁は決が出たことを受け、被害者への補償基金を創設することを柱とした建設石綿給付金法が6月9日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。同法は、病態に応じ550万~1,300万円の給付金を支払うと定めている。訴訟を起こしていない被害者も対象となる。
厚生労働省は、支給対象者は推計約3万1,000人で、総額約4,000億円と見込んでいる。制度開始のめどや申請方法など詳細については検討中としている。
10~11月接種完了目標 「ワクチンが切り札」菅首相
菅義偉首相は6月9日、野党4党首との党首討論の中で、新型コロナウイルスのワクチン接種に関して、「国民の皆さんの接種に必要なワクチンはすでに確保している。ワクチン接種こそが切り札だ」と強調。10~11月に65歳未満を含む希望者全員への接種完了を目指す考えを表明した。
米バイデン政権 脱中国へG7などとの連携により供給網強化
米バイデン政権は6月8日、半導体やレアメタルなど安全保障上重要な製品や原材料の供給網(サプライチェーン)強化に向け、戦略的な国内投資や主要7カ国(G7)、日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の連携により、中国からの輸入依存度を低下させる方針を表明した。同大統領は2月、医療品、半導体、レアアース、大容量蓄電池の4分野について供給網強化を検討し、100日以内に報告するよう関係機関に命じていた。
21年世界のGDP5.6%増へ1月時点から1.5ポイント上方修正
世界銀行は6月8日、2021年の世界全体の実質国内総生産(GDP)が1月時点の前回予想から1.5ポイント上方修正し、前年比5.6%増になるとの最新予測を発表した。
主因は米国の急回復で、2020年の3.5%減から2021年は前回予想を3.3ポイント上回る6.8%増へ引き上げている。バイデン政権が掲げる大規模な財政出動とワクチン普及に伴う経済活動の再開が後押ししている。コロナ禍、世界各国がマイナス成長を余儀なくされた中、2020年もプラス成長を維持した中国は、前回から0.6ポイント上方修正して8.5%増と予測。
こうした一方で、新興・発展途上国では新型コロナの感染再拡大やワクチン普及の遅れが大きく響き、回復への動きは鈍いとしている。
温室効果ガス削減へ食の見直しの必要性指摘 環境白書
日本政府が6月8日閣議決定した2021年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」によると、温室効果ガスの削減に向け生活様式を見直す必要性を指摘し、大豆など植物性タンパク質を加工した代替肉が食の選択肢の一つになると紹介している。また、食品の生産や加工、廃棄といった各工程で環境負荷が生じていることを強調。このほか、再生可能エネルギー電力への切り替えや断熱リフォーム、食品ロス削減なども呼び掛けている。
広がるインド変異株,各地で経路不明の「市中感染」,クラスターも
新型コロナウイルスの従来株より格段に感染力が強いとされる変異株が、日本国内で徐々に広がり始めている。また、さらに新しい変異株も確認されている。日本政府は海外渡航暦がなく、感染経路不明の「市中感染」が始まっているとみて、水際対策と監視体制を強化し、警戒を強めている。
厚生労働省によると、5月31日時点で確認されたインドの変異株、前週から24人増えて53人。自治体数も前週の7都府県から12都府県に拡大している。都の独自調査によると、6月4日までに確認されたインドの変異株は5月31日時点の14人から、疑い例まで含め計28人に上っている。神奈川県や東京都ではインド変異株のクラスターや市中感染事例も出ている。中には海外渡航暦もない感染例も報告されている。
コロナ禍でネット利用時間増加 10~20代は66~71%
日本政府が6月8日、閣議決定した2021年版「消費者白書」によると、コロナ禍で余儀なくされた「巣ごもり生活」の結果、インターネットの利用時間が増えたことが明らかになった。
消費者庁がウェブと郵送で全国1万人にアンケートし、約5,800人から得た回答では、時間の使い方の変化が顕著になった。「家族との時間」「趣味」「旅行」「外食」など10項目に費やした時間の増減を2019年と2020年で比較したところ、「増えた」との回答が最も多かったのが「インターネット」だった。
全体で38.4%は利用時間が増え、とくに10代後半は71.7%、20代は66.8%に上った。利用の内訳は情報収集や動画閲覧、ネット交流サービス(SNS)などが多かった。
病床いぜんひっ迫,沖縄深刻 9都道府県の緊急事態宣言1週間
新型コロナウイルスの感染拡大で東京や大阪など9都道府県に発令中の緊急事態宣言が延長されてから6月7日で1週間が経過した。感染者数は沖縄県を除けば、減少傾向だが、病床はいぜんとしてひっ迫した状況が続いている。
病床使用率東京都と京都府がステージ3(20%以上)。その他7道府県はステージ4(50%以上)となっている。中でも沖縄は別格で深刻な状況にある。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数は、前週から22.6人多い125.6人と、ステージ4の基準を大幅に上回る。病床使用率は99.7%に達している。
9大学が連合体「自然エネルギー大学リーグ」脱炭素化後押し
千葉商科大学などキャンパス内で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す9大学が6月7日、大学の連合体「自然エネルギーー大学リーグ」を設立した。他の大学にも参加を呼びかけ、国内外の脱炭素かを後押しする。
設立趣意書によると、参加する大学は、使用する電力のすべてについて、大学が自ら整備する再生エネルギー設備で発電したり、再生エネルギー由来の電力を調達したりする目標を掲げ、2030年~2040年までの実現を目指して計画を策定する。
日本 1~3月期GDP改定値 年率3.9%減に上方修正
内閣府が6月8日発表した2021年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除く実質で前期比1.0%減、年率換算で3.9%減となった。5月公表の速報値(前期比1.3%減、年率換算5.1%減)から上方修正した。ただ、年明けからの緊急事態宣言の再発令で個人消費などが冷え込んでおり、3四半期ぶりのマイナス成長に変わりはない。