経済産業省は4月22日、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた官民の投資が、2030年時点で少なくとも年間17兆円必要との試算を発表した。これは現状の3倍の規模。政府のクリーンエネルギー戦略を議論する審議会で明らかにした。
主な投資の内訳は、燃焼しても二酸化炭素(CO2)が出ない水素、アンモニアの活用など電源や燃料の脱炭素化で5兆円、送電線などインフラ整備で4兆円などを見込む。民間企業に巨額投資を促す積極的な支援策が欠かせない。
iPS細胞から作製の組織移植で腰痛治療に期待
京都大学iPS細胞研究所や大阪大学のグループは4月20日、iPS細胞から作製した軟骨の組織を移植して、ラットの尾の付け根部分にある椎間板の機能が再生され、正常に保つことができたと発表した。グループは今後、より大きな動物で研究を進め、2、3年後をめどにヒトに移植する臨床研究を目指したいとしている。
背骨にある椎間板の中には「髄核」と呼ばれる組織があり、この組織が傷ついたり、失われたりする「椎間板変性」は、日本人の腰痛の主な原因の1つとされている。グループは髄核の細胞が、軟骨の細胞と遺伝的に似た特徴を持つことを突き止め、尾の付け根部分にある椎間板から髄核を取り除いたラットにiPS細胞から作製した軟骨の組織を移植して半年後の状態を調べた。
その結果、椎間板の変性は起こらず、本来の機能が再生され、正常な機能を保つことができていたという。一方、髄核を取り除いたままのラットは椎間板の組織が壊れ、椎間板変性の状態になったとしている。