日本企業への影響深まる 中国工場の操業再開延期相次ぐ

中国でいぜん感染拡大が続く新型コロナウイルスにより、日本企業への影響が深まっている。トヨタ自動車は天津市や広州市など中国の4つの都市にある工場の再開時期を、10日以降としていたのを17日以降に先延ばしした。ホンダも武漢市の工場の再開時期を14日以降としていたのを17日の週まで遅らせた。三菱自動車も福建省福州市などの工場の再開時期を17日以降へ先延ばししている。
また、資生堂は上海市と北京市の工場の操業を17日まで停止するとしている。このほか、流通・小売業へも影響が広がっている。「ユニクロ」「ジーユー」などを展開するファーストリテイリングは中国のおよそ750店舗のうち、2月7日時点でほぼ半数にあたる370店舗が休業を余儀なくされ、営業面への影響も広がっている。

中国以外の新型ウイルス感染者27か国・地域で353人に

中国以外の新型コロナウイルスへの感染が確認された国・地域は27に上り、感染者は合わせて353人となっている。このうち日本が集団感染が確認されたクルーズ船の64人を含めて80人、続いてシンガポール40人、タイ32人、香港26人、韓国24人、台湾17人、マレーシア16人、オーストラリア15人、ドイツ14人、ベトナム13人、アメリカ12人、フランス11人、マカオ10人などと続いている。

新型ウイルス拡大で北海道の観光消費最大426億円の損失

北海道銀行グループのシンクタンク、道銀地域総合研究所(所在地:札幌市)の試算によると、新型コロナウイルスの感染拡大による中国人観光客の減少に伴い、3月まで中国が団体旅行禁止を続けた場合、1~3月の北海道内の観光消費額が最大426億円減少する。これは北海道や国土交通省のデータを基に、同研究所が宿泊・観光消費の損失額を推計しまとめたもの。中国人観光客は19万人減少すると想定している。この時期の有力イベントの一つ、「さっぽろ雪まつり」でも宿泊施設に大きな影響が出ている。

新型肺炎の中国の死者490人、感染者2万4,324人に

中国政府は2月5日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が490人、感染者が2万4,324人に達したと発表した。このほか、感染が疑われる”疑似病例”は計2万3,000人を超えている。中国本土以外では日本、タイ、シンガポールなど27か国・地域で210人以上の感染が確認された。このうちフィリピン、香港でそれぞれ1名が死亡した。

中国人の1/27~3月末の訪日40万人キャンセル

日本旅行業協会によると、観光ビザで訪日する中国人が旅行会社から受け取る「身元保証書」の申請数が、中国政府が団体旅行を禁止した1月27日以降3月末までに約40万人に上ることが分かった。これにより、この大半がキャンセルになるとみられる。
このほか、クルーズ船を利用した団体旅行やビジネス客はこの40万人には含まれておらず、中国人旅行者全体のキャンセルはさらに膨らむ見込み。

中国の新型肺炎感染患者数2万438人、死者425人に

中国の保健当局、国家衛生健康委員会は2月4日、新型コロナウイルスに感染した患者数が2万438人、死亡した人が425人になったと発表した。また、湖北省では重体の患者が576人に上っているという。
こうした状況を受け、習近平指導部は2月3日、これまでの一連の対応に問題があったことを初めて認めた。感染拡大に伴って、後手後手に回った対応策や、外出できない日々の暮らしのあり方、経済に悪影響が広がり先行き不安に国民の不満がさらに高まることなどに、危機感を強めていることをうかがわせた。

新型肺炎拡大で春節明けも中国の生産活動の停滞必至

中国の生産活動は、春節休暇明け後も早期の操業再開が見通せないため、停滞必至とみられる。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続いているためだ。中国の多くの省、自治区、直轄市は、ウイルスの拡散防止のため春節休暇後も、企業に休業延長や従業員の出勤を控えるよう指示を出しており、その数は現時点で全体の7~8割に上っている。
多くの企業は2月9日までの休業は織り込んでいるものの、これがなし崩しに先へずれ込めば、数多くの製造業などへ影響が広がり、ひいては中国経済への打撃が懸念される。

中国の新型肺炎患者1万1,791人に 医療施設・物資いぜん不足

中国の保健当局、国家衛生健康委員会のまとめによると、同国の新型コロナウイルスによる肺炎患者は1万1,791人に達し、死亡した人は259人に上っている。こうした中、最も感染が深刻な湖北省武漢市では、増え続ける肺炎患者を専門に治療するための2つの病院の建設が突貫工事で進められており、1つ目の病院が完成する予定。
ただ、急増する患者に対して医師や医療施設の数がいぜん不足しているほか、湖北省の各地の病院では医薬品やマスクなどの医療物資も十分に確保できていないことから、地元政府への批判の声が上がっている。