泉佐野市が逆転勝訴 ふるさと納税訴訟で最高裁が判決 国の主張退ける

大阪府泉佐野市が、ふるさと納税制度の対象自治体から除外したのは違法だとして、総務大臣に決定の取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は6月30日、国の勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、泉佐野市の逆転勝訴を言い渡した。
返礼割合などの基準を定めて総務大臣が対象自治体を指定する新制度に切り替わる際に、法規制前の実態に基づいて除外を決めたことの是非が最大の争点だった。

中国「香港国家安全維持法案」可決 「一国二制度」事実上崩壊へ

中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は6月30日、中国政府が香港で統制を強める「香港国家安全維持法案」を全会一致で可決、成立させた。そして、香港返還記念日の7月1日より施行する。
同法は①国家の分裂②政権の転覆③テロ活動④海外勢力と結びついて国家の安全に危害を加える行為-などを厳正に処罰するのが柱。同法の成立により、中国政府は香港に治安維持機関「国家安全維持公署」を新設し、中央政府の関与を大幅に強め、中国本土と同様、過激な抗議活動などを封じ込めることが可能になる。そして、同法に違反した場合、犯罪として刑事責任を問う。
1997年、英国から香港が返還されて以来23年目。中国政府は返還後50年間は維持するとしてきた、香港に高度な自治を認める「一国二制度」は、いよいよ事実上崩壊する、歴史的な岐路に立った。

コロナ関連倒産285件に 6月は4日残し93件発生 4、5月上回る

東京商工リサーチのまとめによると、6月26日17時現在、新型コロナウイルス関連により経営破綻(負債1,000万円以上)した企業は全国で285件(倒産209件、準備中76件)に達した。2月の2件、3月の23件、4月の84件、5月の83件に続き、6月は4日間を残し、4、5月を上回るペースで発生、26日までに93件に上っている。
都道府県別では、和歌山県、島根県、高知県の3県を除く44都道府県で発生。東京都が66件(倒産54件、準備中12件)で最多。以下、大阪府25件(同19件、同6件)、北海道17件(同15件、同2件)、静岡県14件、兵庫県13件、愛知県12件の順。10件以上発生しているのは6都道府県に上っている。
業種別にみると、飲食業が45件で最多。ホテル・旅館の宿泊業が38件、アパレル関連が35件で続いている。

新型コロナ「第2波」で数百万人規模死亡の恐れ WHOが見解

WHO(世界保健機関)は6月26日、新型コロナウイルスの「第2波」が発生すれば、さらに数百万人規模の死者が出る事態もあり得るとの見方を示した。WHOのラニエリ・グエーラ事務局長補佐が語ったもの。同補佐はまた、新型コロナウイルスの感染はこれまで、WHOの担当者が仮定してきた事態の進展に沿って進みつつあるとも述べた。
世界の感染者は6月29日時点で1,000万人を突破、死者も50万人を超えている。

イベント中止・延期の経済損失3兆円余 政策投資銀が推計

日本政策投資銀行はこのほど、新型コロナウイルスの影響で音楽やスポーツなど様々なイベントが中止や延期になった経済損失は、3~5月の3カ月間で3兆円余に上るとの推計をまとめた。
自治体などの主催による地域のまつりは3カ月間で1,116件が中止や延期になり、1兆7,411億円に達したほか、音楽やライブ、演劇などの中止や延期は1万2,705件で9,048億円、プロ野球やサッカー、Jリーグなどのプロスポーツは1,150件で2,688億円のそれぞれ損失。このほか、国際会議や展示会などの中止や延期による損失も含めると全体で3兆256億円に上ると推計した。
この推計には観客の宿泊費、飲食代、会場の使用料、スタッフの人件費などの波及効果などが含まれる。

東京工科大 がん幹細胞を識別するAI技術を開発 応用に期待

東京工科大学(本部所在地:東京都八王子市)応用生物学部の杉山友康教授とコンピュータサイエンス学部の亀田弘之教授らの研究グループは6月26日、がん幹細胞と非がん幹細胞を識別する人工知能(AI)技術を開発したと発表した。
これは、培養細胞またはがん組織の位相差顕微鏡画像に写るがん幹細胞の細胞形態をAIが識別して、がん幹細胞を明示することができるもの。がん幹細胞の存在を指標にした医薬品評価や病理組織診断などへの応用が期待される。
この研究成果は2020年6月19日、オープンアクセス学術誌「Biomolecules」に掲載された。

20~30代の4人に1人が「朝食を抜くことが多い」食育白書

日本政府がまとめた2019年度版食育白書によると、日本人の20~30代の若い世代は4人に1人にあたる25.8%が「朝食を抜くことが多い」と回答していることが分かった。
政府は、若い世代の健全な食生活の習慣化を重点課題とし、20年度までに朝食を摂らない人の割合を15%以下とする目標を掲げている。今回は前年度から1.1ポイント低下したが、いぜん目標とはかけ離れている。

柳井氏が京大のがん・ウイルス研究に総額100億円を寄付

カジュアル衣料品「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は6月24日、ノーベル医学・生理学賞を受賞している京都大学の本庶佑特別教授と山中伸弥教授の研究に対して、個人の資産から総額100億円を寄付すると発表した。
本庶教授に対しては、同氏がセンター長を務めるがん免疫総合研究センターの研究費や人件費として、今後10年間、毎年5億円を寄付し、基金として運用する。山中教授に対しては、新型コロナウイルスの感染対策や治療薬の研究に対して5億円、iPS細胞を低価格で提供するための製造設備の建設などに来年度から9年間、毎年5億円寄付するという。

「空飛ぶ車」大阪・関西万博で運航目指す 官民で後押しし加速

日本政府は6月25日、人を乗せて空を移動する「空飛ぶ車」の2023年実用化に向け、安全性の確保や飛行空域の整備など技術および制度面の課題をまとめた論点整理を発表した。経済産業省や国土交通省が航空機メーカーや地方自治体、大学などと設置した官民協議会が24日に第6回会合を開き、これまでの議論を総括した。
これまでにANAホールディングスが2025年大阪・関西万博で空飛ぶ車での旅客輸送サービスの提供を目指すと表明しており、官民挙げて技術開発や条件整備を加速する。

リニア新幹線27年開業はずれ込む公算大 JR東海・静岡県の会談平行線

リニア中央新幹線の静岡県内の工事の未着工問題をめぐり、静岡県の川勝平太知事とJR東海の金子慎社長は6月26日静岡県庁で初会談した。
工事による大井川の流量低下や生態系への影響などについて、静岡県がが懸念を示し、同県内の工事は中断している。JR東海が6月中の着手が必要としていたトンネル(8.9km)の準備について、川勝知事は準備工事の再開に明確な言及を避けたまま、会談は平行線となり結論は出なかった。この結果、JR東海が目指す品川-名古屋間をわずか40分で結ぶ、リニア中央新幹線の2027年開業は遅れる公算が大きくなった。