全国14水道でPFAS基準超え 20〜23年度 24年度はゼロ

環境省と国土交通省は11月29日、全国の水道事業者が実施した水質検査の結果、健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」のうち「PFOS」「PFOA」について、2020年度から2023年度にかけ、全国の14カ所で国の暫定目標値を一時的に上回っていたことを明らかにした。2024年度は9月末時点で暫定目標値を上回る水道事業者はなかった。2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回った。

「新しい認知症観」理解促進へ 認知症施策基本計画を了承

政府は11月29日、認知症施策推進本部を首相官邸で開き「認知症施策推進基本計画」案を了承した。近く閣議決定する。石破首相は認知症になっても「当事者が住み慣れた地域で、周囲とのつながりから希望を持って暮らし続けられる社会の実現が必要だ」としている。基本計画には、こうした「新しい認知症観」への理解促進などを盛り込んでいる。

豪 16歳未満のSNS利用禁止へ 上下院可決 施行は1年後

オーストラリア議会上院は11月28日、16歳未満のSNS利用を禁じる法案を賛成多数で可決した。同法案は27日に下院を通過しており、近く連邦総督の裁可を受けて成立する。オーストラリア成府によると成立後、1年の猶予期間を経て施行される。子どもの人権を守る法案だが、SNSの利用を禁じる法案は世界初。
SNSを介した子どものいじめや性犯罪、有害な投稿の閲覧を防ぐのが狙い。SNSを運営する企業に対し、子どもがアカウントを持つことを防ぐ合理的な措置を求め、違反した場合は最高4,950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。

マイナ保険証で25年度から電子カルテ 病院間で共有へ

政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システム「電子カルテ情報共有サービス」の運用を、2025年度に始める方針を固めた。この新システムは厚生労働省所管の法人が管理する。
これにより、各医療機関から電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方箋の情報が集まり、データベースに蓄積される。データの保存期間は3カ月〜5年間となる。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要がある。
新システムが導入されると、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になる。また、アレルギー情報は安全な薬剤の処方に役立つ。

危険運転 法改正へ ”速度”や”飲酒”に数値基準を新設

法務省は、悪質な運転による交通事故を適正に処罰するため、自動車運転死傷行為処罰法の危険運転致死傷に関する規定を改正する方針を固めた。高速度や飲酒運転による事故への適用要件を明確化するため、速度や運転者のアルコール濃度について数値基準を新設する。車のタイヤを横滑りさせながら運転する「ドリフト走行」も処罰対象に加える方向。早ければ年度内も法制審議会に諮問し、具体的な数値や要件などを固める。

訪日客の免税制度 26年度にも出国時返金に変更 不正横行で

政府・与党は、訪日観光客に適用される消費税の免税制度について、2026年度にも出国時に国外へ持ち出す商品を確認して消費税分を払い戻す「返金(リファンド)方式」に変更する方向で調整に入った。日本国内で購入時に免税している現行制度では、その後に転売するなどの不正が横行しているとの指摘があるからだ。
与党の税制調査会が詳細を詰め、今年末にまとめる2025年度税制大綱に盛り込む。
税関の調査では、2022年度に1億円以上の免税品を購入して出国した374人のうち、税関が購入を把握して検査できたのは15.2%の57人にすぎず、ほとんどの人は無申告で出国していた。さらに免税品の検査をした57人のうち、56人は持ち出しなどを確認できず、消費税を支払う必要があったが、55人は納税せず出国し、滞納額は18億5,000万円に上ったという。

何副首相と会談 関西財界訪中団 関係強化, 万博協力確認

関西財界訪中代表団は11月27日、何立峰副首相と北京市の人民大会堂で会談し、日中関係の改善・強化に向けた協力を確認した。何氏は経済担当の副首相として産業・貿易政策に大きな権限を持つ。
今回の訪中代表団の共同代表を務めた、関西経済連合会の松本正義会長は中国側にビジネス環境の改善を求めたのに対し、何氏は「ウィン・ウィンの発展が大切だ」と応じたという。また、2025年4月に開幕する大阪・関西万博に合わせて、中国政府が代表団を派遣する考えが示された。

阪大チーム がん免疫療法の副作用のたんぱく質を特定

大阪大のチームはこのほど、「がん免疫療法」の副作用と関わるたんぱく質を、マウスを使った実験で突き止めたと発表した。論文が科学誌サイエンスに掲載された。同チームは、このたんぱく質の働きを抑えれば、がんを攻撃する免疫細胞によって起きる副作用を軽減できる可能性があるとしている。
免疫細胞には、ウイルスやがんを攻撃して体を病気から守る「キラーT細胞」などと、逆にキラーT細胞などの働きにブレーキをかけて過剰な免疫反応を抑え、結果的にがんを保護することもある「制御性T細胞(Tレグ)」が存在する。免疫療法では、これらの免疫細胞に働きかけ、効果的にがんを攻撃させる複数の薬が開発されているが、全身で炎症が起きるなどの副作用が出やすいことが課題となっている。

万博開幕控え25年2月 大阪松竹座「立春歌舞伎」訪日者も

大阪府と大阪市の主催で2025年2月、大阪市中央区の大阪松竹座で「立春歌舞伎特別公演」が行われることになった。2025年4月開幕の大阪・関西万博に合わせ、国内外からの来訪者に大阪の文化や芸術に親しんでもらう事業の一環。大阪府・市などの主催による公演は4回目。
公演は2025年2月1〜16日(7日は休演)で、昼の部の演目は「幸助餅」など、夜の部は「義経千本桜」。料金は1等席1万5,000円など。
中村鴈治郎さん、中村扇雀さん、片岡愛之助さん、中村獅童さん、市川中車さんらが出演する。

レバノン停戦合意 イスラエル・ヒズボラ「60日」発効

米国のバイデン大統領は11月26日、レバノンを拠点とするヒズボラとイスラエルの戦闘を巡り、イスラエル、レバノン両政府が米政府の仲介した停戦案に合意したと発表した。合意は27日午前4時(日本時間27日午前11時)に発効した。
合意では60日の停戦期間を設け、この間にイスラエル軍が段階的にレバノン南部から撤退する。ヒズボラはリタニ川以北へ撤退し、以南にあるヒズボラの重火器は撤去される。
イスラエルとヒズボラの対立は根深く、合意プロセスが順調に進むかは不透明だ。2006年に設けられた国連レバノン暫定軍(UNIFIL)、米国、レバノンの旧宗主国フランスを加え、米国主導で合意の履行状況を監視する。