筑波大 難治性の脳のがんに世界初の独自治療法 治験開始

筑波大学(所在地:茨城県つくば市)は2月22日、難治性がんの一種、こう芽腫という脳の病気に対して次世代の治療法で治験を開始すると発表した。同大学はつくば市の高エネルギー加速器研究機構などと連携し、独自に開発した照射装置と治療薬を組み合わせた「BNCT」という治療法で、初めてこう芽腫と診断された患者への治療を始めるという。BNCTはがん細胞に取り込んだ「ホウ素」に中性子を照射し、がん細胞を破壊する治療法。

24年度賃上げ「実施する」過去最高の85.9% 最多は3%

東京商工リサーチのまとめによると、2024年度の春闘で賃上げを「実施する」と回答した企業は定期的な調査を開始した2016年度以降で最高の「85.6%」に達した。ただ、規模別の実施率では大企業(93.1%)と中小企業(84.9%)で8.2ポイントの差があり、賃上げを捻出する体力や収益力の差で二極化が拡大している。
賃上げ実施率ではどうか?連合が2024年度春闘の方針として掲げる「5%以上」の賃上げは、賃上げ実施予定企業のうち達成見込みが「25.9%」にとどまり、前年度から10ポイント以上の大幅な低下となった。賃上げ率の中央値は「3%」だ。
2024年2月1〜8日、インターネットによるアンケート調査を実施。有効回答4,527社を集計・分析した。

首都圏の公営墓地で負担の軽い「合葬墓」20年で4倍増

NHKが1月から2月にかけて首都圏の1都3県と、人口が10万人以上の市の合わせて97の自治体に対し、公営墓地について実施したアンケート調査によると、複数の遺骨を合同で納める「合葬墓」が36施設に上り、この20年で4倍に増えたことが分かった。
都立霊園が2から8施設に増加し、横浜市やさいたま市、千葉市なども新たに合葬墓を整備したことで収容できる遺骨の数が20年間で38万体分増えていた。
合葬墓は家族や親族が入る一般墓に比べて費用の負担が軽く、個人による管理も不要となるのが一般的。また、遠く離れて暮らす子ども、孫たちに墓守りを強いることはしたくないとの、親世代の想いがうかがわれる結果だ。また、自治体側も少ない面積の土地により多くの遺骨を収容できる利点がある。

1月の貿易収支1兆7,583億円の赤字 輸入10カ月連続減少

財務省が2月21日公表した1月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆7,583億円の赤字だった。貿易赤字は2カ月ぶり。赤字幅は前年同月に比べ49.9%縮小した。全体の輸入額は前年同月比9.6%減の9兆909億円だった。減少は10カ月連続。輸出額は同11.9%増の7兆3,326億円。増加は2カ月連続。輸入は資源関連(原油9.2%減、液化天然ガス28.8%減、石炭43.2%減)が軒並み減少し、全体を押し下げた。

「奈良のシカ」京都府, 三重県のシカ流入し交配進む

奈良教育大学、福島大学などの研究チームは2月20日、国の天然記念物「奈良のシカ」(ニホンジカ)の血縁関係を調べた結果、奈良市外のシカが山間部などに流入し、交配が進んでいることが分かったと国際学術誌に発表した。地球温暖化に伴い冬を越す個体が増え、生存や繁殖のためにえさを求め行動範囲が広がったことが要因としている。京都府や三重県などの地域のシカが進出しているという。
奈良公園周辺の「保護地区」と、その周囲に広がる奈良市の山間部の「管理地区」双方のエリアのおよそ170頭の体の一部やフンなどを集め、遺伝子の配列を調べた。

大阪湾の相次ぐ迷いクジラ ”黒潮大蛇行”が一因か

近年、大阪湾内にクジラやイルカが迷い込むケースが相次いでいるが、その原因について専門家は暖流の黒潮の流路が大きく南にそれる”黒潮大蛇行”が続いていることを一因に挙げている。
気象庁によると、黒潮大蛇行は2017年から続いている。もともと日本近海ではマッコウクジラは黒潮などの海流に乗って移動する。本来、黒潮と陸地近くでは温度差が大きいが、今回府が調査を依頼した元府立環境農林水産総合研究所主任研究員の鍋島靖信氏は「蛇行の影響で、温度差の小さい海域ができ、漫然と泳ぐクジラが進路を誤ったのでは。潮の干満で生じる流れが大阪湾への進入を助長した可能性もある」と指摘している。
また、クジラが湾内から脱出できなかった理由について、神戸大の岩田高志助教は、クジラ自身が進路を探るために出す音波が狭い海域では岸や船舶に当たって反響してしまい、方向感覚を失った可能性を指摘。「広い外洋で生きるクジラの出す音波は大きい。自分が出した大きな音波が狭い湾内で反響し、パニックに陥ったのではないか」とみている。

ソニーGなど スマトラ島の森林再生へパイロット事業開始

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)、WWFインドネシア、ソニーグループ、SynecO(シネコ、以下、SynecO)は2月19日、人の手による植栽の管理が難しいインドネア・スマトラ島の森林再生地に、生態系が持つ自己組織化機能を活用する農法のSynecoculture(TM)(シネコカルチャー)を導入し、森林再生活動への有効性を検証するパイロット事業を開始すると発表した。
地元コミュニティとも協働しながら、2024年末までの約1年間でSynecocultureによる生態系への効果を測定し、活動を通じて長期的に森林周辺のコミュニティに貢献するとともに、多世代にわたって活用され得る森林の存続と、生物多様性の保存の両立を目指す。

山口 春告げる秋吉台の”山焼き” 広大な草原に炎広がる

山口県美祢市の秋吉台国定公園で2月18日、春の訪れを告げる風物詩、”山焼き”が行われた。日本を代表するカルスト台地で知られる、広さ約1,138haの広大な草原が炎に包まれ、訪れた観光客が迫力ある光景に見入っていた。山焼きは午前9時半、開始の号砲を合図に地元住民や市の職員ら約1,000人がガスバーナーで点火。冬の枯れ草が生い茂った草原に、帯状の炎がバチバチと音を立てながらみるみる広がっていくと、あちこちで歓声が沸き上がった。
この山焼きは、白い石灰岩が点在する景観を維持し、生態系を保護するため毎年実施されている。焼けて黒くなった大地は、5月ごろ新緑に覆われる。

米アニー賞で宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」2冠

アニメ界のアカデミー賞と呼ばれる「第51回アニー賞」の発表・授賞式が2月17日、米国・ロサンゼルスで開かれた。宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が、絵コンテ賞、キャラクターアニメーション賞の2冠に輝いた。ただ、最も注目される長編作品賞は「スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース」が選ばれ、ノミネートされていた「君たちはどう生きるか」、新海誠監督の「すずめの戸締まり」は受賞を逃した。

大阪城天守閣観覧料 25年春から2倍の1,200円に値上げ

大阪市によると、大阪城天守閣の観覧料が2025年春から大人で現在の2倍の1,200円に値上げされることになった。この結果、大阪城天守閣の観覧料は全国で最も高くなる。
大阪城は2025年春に、豊臣秀吉が築いた初代の石垣を展示する施設が開業する予定で、この施設と天守閣を合わせた入館料金として設定するため改定に踏み切った。大阪市観光課は「豊臣期から徳川期の歴史の重なりを体感していただける城はなかなかありません。ご理解いただきたい」としている。
天守閣の観覧料は現在、高校生以上の大人が600円となっているが、2025年春から高校生と大学生が600円のまま据え置かれるが、大人は1,200円と2倍に引き上げられる。