エーザイの認知症薬 米国FDAが申請受理 自宅投与が可能に

エーザイ(本社:東京都文京区)は1月14日、米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の皮下注射製剤の承認申請について、米食品医薬品局(FDA)が受理したと発表した。8月31日までに審査を完了する。承認されれば、米国では自宅での薬剤投与が可能となる。皮下注射製剤は週1回専用のペン型注射器で投与し、平均15秒で投与できる。通院や看護の負担を軽減できる。
レカネマブは米国、日本、中国、韓国など10カ国・地域で承認を取得。欧州(EU)など17カ国・地域で承認申請している。

24年介護事業者倒産 前年の1.4倍の172件で過去最多に

東京商工リサーチのまとめによると、2024年に確認された介護事業者の倒産は全国で前年の1.4倍の172件にに上り、介護保険制度が始まった2000年以降で最も多くなった。恒常的な介護職員の不足や物価の高騰が主要因。
倒産事業者の内訳は「訪問介護」が最も多く81件と全体の半数近くを占めている。次いでデイサービスを提供する「通所・短期入所」が56件、「有料老人ホーム」が18件などとなっている。負債総額は229億円余で、従業員数が10人未満の小規模な事業所が8割以上を占めている。

団塊の世代全員 後期高齢者に 医療・介護体制拡大が課題

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年は約800万人が新たに75歳以上となり、第1次ベビーブームの時代(1947〜1949年生まれ)全員2,154万人が後期高齢者となる。その結果、後期高齢者の75歳以上が、全人口のおよそ5人に1人の割合となる。
近年、経済・社会問題として様々に指摘されてきたことだが、いよいよ「2025年問題」に直面する年となる。医療や介護を必要とする人がますます増加し、国としてこうした人たちを支える体制をどのように拡大、充実させていくかが大きな課題となる。

技能実習生など外国人労働者の14%トラブル抱える 厚労省

厚生労働省は12月26日、技能実習生や特定技能、永住者ら日本で働く外国人労働者について、就職・転職状況や賃金など労働実態に関する初めての調査結果を公表した。この結果、外国人労働者の14.4%が、紹介費用や仕事内容などを巡って、トラブルを抱えていたことが分かった。
調査は2023年10〜11月に行い、労働者1万1,629人と雇用する3,534事業所から回答を得た。労働者の在留資格別では技能実習が最多の22.8%、永住者が18.9%、特定技能が11.9%だった。
まず就労上のトラブルの有無を尋ねると、14.4%が「ある」と回答。内容別(複数回答)では「紹介会社(送り出し期間含む)の費用が高い」が19.6%で最も多かった。次いで「説明以上に高い日本語能力を求められた」(13.6%)、「仕事内容について説明がなかった」(7.3%)など、受け入れ事業所側の説明の不備を訴える回答も目立った。
月の平均賃金は26万7,000円で、特定技能が23万2,000円、技能実習が20万4,000円。大学の研究職や経営者など高度専門職は60万円で頭抜けて高かった。
事業所が外国人を雇用する理由(複数回答)は「労働力不足の解消・緩和」が64.8%で最多。雇用上の課題では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が44.8%で突出して多かった。
外国人労働者の43%就職・転職の方法として、SNSを含む「知人・友人」を挙げており、ハローワークを利用したのはわずか3.9%にとどまっている。

「マイナ保険証」利用登録の解除申請1万3,000件余に

厚生労働省は12月19日開かれた専門部会で、11月末までに「マイナ保険証」について、利用登録を解除する申請が1万3,000件余りに上ったことを明らかにした。マイナ保険証の利用に不安を感じた人たちが登録を解除しているとみられる。
12月2日に健康保険証の新規発行が停止され、本格的な運用が始まったことで、今後さらにマイナ保険証の利用登録が進むとみられる。事実11月末までの1カ月間でマイナ保険証への利用登録はおよそ127万2,000件増加した。ただ、その一方で利用登録を解除する動きも出ているのだ。マイナ保険証の利用登録を解除すれば、従来の健康保険証と同様に使える「資格確認書」というカードで医療機関での診療は受けられるから、大きな問題はない。

25年4月 帯状疱疹の予防ワクチン 定期接種に 原則65歳対象

厚生労働省は12月18日、帯状疱疹を予防するワクチンについて、2025年4月、公費で補助する「定期接種」とすることを決めた。原則65歳が対象だが、65歳を超えた人は2029年度までの5年間に接種機会を設ける。帯状疱疹は加齢や疲労などによる免疫力低下で発症。ピリピリした痛みや水ぶくれを伴う発疹を招く。

厚労省 高齢者に「アシストスーツ」貸与 モデル事業実施

厚生労働省は、全国20か所程度でシルバー人材センターの高齢者に、足腰などを補助して負担を軽減する「アシストスーツ」を貸与するモデル事業を実施する方針を固めた。体力面で不安を抱える高齢者が働き続けられるように支援するのが狙い。厚労省は今年度の補正予算案に関連経費1億9,000万円を計上している。65歳以上の就業者数は、2023年時点で914万人で、20年連続で前年を上回っている。
アシストスーツは、モーターなどが駆動する力で重い物を持ち上げるのを助ける電動型のほか、ゴムの伸縮などを利用して腰や腕を支えてくれる簡易なタイプもある。

厚労省 東南アジアの外国介護人材確保へ採用費補助

厚生労働省は来年度、介護人材の恒常的に深刻な人手不足の状況を受け、東南アジアで人手確保を支援強化する。この主な内容は①採用活動の経費の一部補助②介護の教育プログラムの創設ーーだ。高齢化の進展により、政府予測を上回るテンポで介護が必要な高齢者が増える一方、外国人材の確保が思うに任せず、国際的な福祉人材の獲得競争が起きているためで、政府は外国人材の受け入れに戦略的に取り組む必要があると判断した。
厚労省の外国人材獲得強化策の一つは、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人や介護福祉士を養成する専門学校などをを対象にした渡航費の補助。東南アジア各国の日本語学校や、送り出し機関を訪問し、勉強や研修をしている若者らを対象に、日本の介護現場の魅力や待遇を伝えう説明会を開いたり、面接などの採用活動を行う費用に充てられる。1法人あたりの補助額は、国と都道府県から計100万円。厚労省は来年度、最大約100事業所の参加を見込む。
インドネシアでは海外への介護人材送り出しに積極的で、来年度から3年かけ介護技術の教育プログラム「KAIGO」を策定する。この事業に厚労省のJICA(国際協力機構)から、日本の介護保険制度や高齢者ケアの専門家ら計3人を派遣する準備を進めている。
出入国在留管理庁によると、介護の仕事に就くために、在留資格「特定技能」で入国した外国人は、2023年末時点で2万8,400人で政府目標の5割強にとどまっている。

商船三井 インドネシアMCSIと特定技能人材送り出しで提携

商船三井(本社:東京都港区)は12月13日、インドネシアで船員のマネジメントやトレーニングを手掛けるPT MCS International(以下、MCSI)と、日本への特定技能人材の送り出し事業に関する業務提携契約を12月5日に締結したと発表した。この提携により、インドネシアからのドライバー人材の送り出しに注力していく予定で、インドネシア人若年層への雇用機会創出と日本国内のドライバー人材不足解消に貢献していく。