政府 子ども虐待対策で児童相談所職員2,000人増員へ

政府は過去最多を更新する子どもへの虐待対策として、児童相談所の職員を2023年度からの4年間で2,000人増員する方針を固めた。この新プランで2023年〜2024年度の2年間で児童福祉司を現在の5,780人から6,850人へ1,070人増やす。また、自動心理司を2023年〜2026年度の4年間で現在の2,350人から3,300人へ950人増やす。政府が児童相談所の増員計画を打ち出すことで、現場を担う自治体の体制強化を後押しする。
児童虐待は、2021年度に児童相談所が対応した件数が20万7,659件(速報値)に上り、過去最多を更新している。虐待によって死亡した子どもは2020年度が77人。このうち心中が28人、心中以外の虐待死49人のうち32人は0歳だった。

23年度から出産一時金50万円に 過去最大の上げ幅

岸田首相は12月10日、出産した人に公的医療保険から支給する出産一時金を2023年度から50万円に引き上げると発表した。現行の42万円から8万円の増額で、過去最大の引き上げ幅となる。
また、2023年4月に発足する「こども家庭庁」のもとで6月までに、岸田政権が政策目標に掲げる「こどもまんなか社会」の実現に向け、道筋を示すと表明した。

介護事業者の倒産1〜11月で135件と過去最多に

東京商工リサーチ(本社:東京都千代田区)のまとめによると、全国の介護サービス事業者の倒産が1〜11月で135件に上り、過去最多だった2020年の年間倒産件数をすでに上回ったことが分かった。このうちデイサービスや訪問介護など、高齢者の日常生活を支援する事業者が8割を占めた。
135件の内訳はデイサービスやショートステイの「通所・短期入所」が65件、「訪問介護」が46件、「有料老人ホーム」が12件、特別養護老人ホームなどが12件となっている。

厚労省 コロナ・インフル同時流行 ピーク時も診療可能

厚生労働省は12月2日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、平日であれば全国で1日に最大90万人程度を診療する体制を整えたと発表した。流行のピーク時に見込む75万人の受診希望者を受け入れられる水準としている。年末年始の感染拡大も想定され、休日の診療体制の強化が引き続き課題になる。都道府県が同時流行の発生時に備えた計画を作成し、厚労省が取りまとめた。

エーザイ「レカネマブ」最終治験で症状悪化を抑制

エーザイ(本社:東京都文京区)は11月30日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、臨床試験(治験)の最終段階にあたる第3相試験の結果を、アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表した。
レカネマブを投与すると早期アルツハイマー病患者の症状悪化を27%抑制することができた。この結果は、米医学誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に論文掲載された。
治験は北米、アジア、欧州の235施設の早期アルツハイマー病患者898人対象に行われた。

損保ジャパン 仕事と介護両立を支援 3年3カ月補償

SOMPOホールディングスは11月28日、グループの損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、プライムアシスタンスが10月1日以降保健開始契約から、団体長期障害所得補償保険(GLTD)に従業員の仕事と介護の両立を支援する「介護休業および復職支援特約」を新設したと発表した。これにより、介護休業開始日から最大3年3カ月まで補償対象となる。雇用保険による介護休業給付は通算93日までだった。介護休業給付に上乗せもできる。

22年子ども出生数 初の80万人割れか 少子化進行

厚生労働省が11月25日発表した1〜9月の子ども出生数は59万9,000人余りと前年同期より約3万人減少している。2021年の年間出生数は81万1,622人で、今年は12月までの3カ月間も今のペースのままで推移すれば、国が統計を取り始めた1899年以降で初めて80万人を下回る可能性がある。日本総合研究所が11月上旬に公表した推計では、最終的な2022年の出生数は約77万人で80万人を下回る見通しとなっている。少子化に歯止めがかからない。
日本の出生数は統計を取り始めた1899(明治32)年は138万6,981人、戦後ベビーブームの1949(昭和24)年は269万6,638人、第二次ベビーブーム(ベビーブームジュニア世代)の1973(昭和48)年は209万1,983人、そして100万人の大台割れを記録した2016(平成28)年は97万7,242人だった。

富士通,和歌山県立医大 転倒検知センサーで共同実証 

富士通と和歌山県立医科大学は11月21日、カメラを使わずにミリ波センサーを用いて人の動きを検知する富士通独自のAI技術、行動分析技術「Actlyzer(アクトライザー)」を活用した見守り技術を用いて、同日より共同実証実験を開始すると発表した。転倒などの状況を早期に発見し、骨折などの重症化リスクの低減を目指す。
公益社団法人 全日本病院協会によると、国内18病院で2021年度は1カ月あたり290件の入院患者の転倒が発生している。高齢者の転倒は重大な障がいにつながるリスクが高く、見守りが必要。その一方で病室などにカメラを設置する見守り技術は、患者のプライバシーを損なう観点から、導入が難しい側面がある。こうした難点を克服する手立てとなる。

「離れて暮らす親に不安」8割 セコムが意識調査

セコム(本社:東京都渋谷区)が行った「離れて暮らす親に関する意識調査」の結果、30代以上の子ども世代とその親の、現在の家族の距離感の一端が分かった。
明らかになったのは①約5割が週に1日以上、別居する親と連絡を取っている②8割以上の人が「別居している親について不安に感じることがある」と心配③心配だが、「別居している親が今日何をしているか」「親の日程やスケジュールを知らない」人が6割を超える−など。
セコムが11月20の「家族の日」を前に、全国の30歳以上の男女400人を対象に調査を実施した。

ファストリとUNHCR バングラで難民の自立支援P

国内外で「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は11月9日、バングラデシュのコックスバザールにある世界最大規模の難民キャンプで、ロヒンギャ難民の女性を対象に自立支援プロジェクトを始動すると発表した。ファーストリテイリンググループの生産パートナーの協力を得て、縫製スキルのトレーニングを実施。2025年までに1,000人に対するトレーニングの修了を目指す。
UNHCRの統計によると、同難民キャンプには2022年9月末時点で94万人のロヒンギャ難民が避難生活を余儀なくされている。