トヨタ 低排気量の小型エンジンを開発 PHV, HVへ搭載想定

トヨタ自動車の佐藤恒治社長は5月28日、燃費効率と小型化を追求した新型エンジンの開発を進めることを明らかにした。開発するのは低排気量の直列4気筒のエンジンで、2種類用意する。プラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)など電動車のモーターとの併用を想定し、高効率化を目指す。

帝人 小児向け伸びる心臓パッチ共同開発 再手術リスク減

帝人(本社:大阪市北区)は5月27日、福井経編興業(所在地:福井市)および大阪医科薬科大学と共同で、先天性心疾患を持つ小児向け心臓パッチ「シンフォリウム」を開発し、6月12日に発売すると発表した。帝人傘下の帝人メディカルテクノロジー(所在地:大阪市)が販売する。価格は104c㎡の製品が37万8,560円。同製品は2023年7月に厚生労働省から製造販売の承認を取得している。この心臓パッチは伸縮することで、成長する小児の心臓の変化に対応し、これまでなら必要だった再手術のリスクを低減できるという。

トヨタなど4社 脱炭素燃料30年導入へ共同検討

トヨタ自動車、出光興産、ENEOS、三菱重工業の4社は5月27日、自動車向けの脱炭素(カーボンニュートラル、CN)燃料の導入・普及に向け共同で検討を始めたと発表した。2030年ごろの導入を目指し、量産化の方法や実現に必要な制度などについて検討を進める。
CN燃料は既存のエンジン車にも活用できる可能性があるほか、充電に時間がかかる電気自動車(EV)と違い、給油時間をガソリン車並みにできるメリットがある。

東京海洋大学 ニジマスでサケの卵を繰り返し産卵に成功

東京海洋大学の研究グループは5月24日、ニジマスにサケの細胞を移植することで、サケの卵を繰り返し産卵させることに成功したと発表した。サケの養殖の効率化や品種改良、他魚種への適用を含め資源の保護に役立つ技術と期待される。
サケは数年間、海を回遊した後、生まれた川に戻って、一生に1度の産卵を終えると死んでしまう。これに対し、ニジマスは成熟した後は死ぬまで毎年、産卵し続ける。
グループはキングサーモンなどから精子や卵のもとになる「生殖幹細胞」を取り出して、ふ化したばかりのニジマスに移植。実験施設の水槽で飼育を続けたところ、2年ほどでニジマスは成熟してオスはサケの精子、メスはサケの卵を持つようになり、双方を人工的に授精させるとサケになった。さらにこれらのニジマスはその後も毎年、サケの精子と卵をそれぞれ持つようになり、メスは卵を産み続けた。

e-Mobility Power, 東光高岳 次世代超急速充電器を共同開発 

e-Mobility Power(イーモビリティパワー、本社:東京都港区)と東光高岳(本社:東京都江東区)は5月23日、次世代超急速充電器(一口最大出力350KW)を共同開発することで合意したと発表した。CHAdeMO規格の最大出力350KW/口の急速充電器の開発は世界初の取り組みとなる。10分の充電で400km走行できるとしている。
東光高岳はEV用急速充電器の国内累計販売台数No.1(2024年3月時点で約5,000基)の実績を持つ。イーモビリティパワー、東光高岳の両社は、あらゆる車種のEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)ユーザーの需要に応える。

三菱重工, 日本ガイシ クリーン燃料製造の効率化で協業

三菱重工業(本社:東京都千代田区)と日本ガイシ(本社:名古屋市瑞穂区)は5月22日、環境負荷を抑制するクリーン燃料・原料の利用拡大を見据え、需要の拡大が見込まれるバイオエタノールおよびe-メタノールの製造プロセスを低コスト・高効率化する膜分離脱水システムを共同開発すると発表した。燃料メーカー向けに2020年代後半の商用化を目指す。

京大 iPS細胞から精子, 卵子のもと大量作製成功, 医療応用

京都大学高等研究院の斎藤通紀教授らのグループは5月21日、ヒトのiPS細胞から卵子、精子のもとになる細胞を大量につくり出す方法を開発したと発表した。これにより、将来的に不妊治療など医療への応用が期待される。
グループはヒトのiPS細胞から生殖細胞のもとになる細胞をつくり、さらに卵子のもとになる「卵原細胞」に変化させる方法を開発しているが、できる細胞の数が少ないことが課題だった。今回グループは、様々な細胞の分化を助ける働きをする「BMP」というタンパク質を加えて培養したところ、課題だった「卵原細胞」を大量に作製することに成功したという。細胞の数は4カ月の培養期間でおよそ100億倍に増えた。また、同じ方法で精子のもとになる細胞も大量に作製することができたとしている。

次世代車SDV 30年に世界シェア3割目標 経産省が戦略案

経済産業省は「SDV」と呼ぶ次世代車で、日本車のシェアを高める新たな目標を掲げた。SDVは「Software Defined Vehicle」の頭文字。車両に搭載するソフトウエアの更新で、発売後にもソフトウエアのバージョンアップで車の付加価値を高めることができる。
経産省は国土交通省と連名で5月20日に公表した「モビリティDX(デジタルトランスフォーメーション)」戦略案で、2030年にSDVを世界市場見通しのシェア3割に相当する1,200万台販売する目標を掲げている。展開速度を速めるため、新戦略では自社の独自性が出しにくい半導体や生成AIなど7分野で、日系メーカー各社が共同で研究開発するよう求めた。
世界ではSDVを米テスラや中国の比亜迪(BYD)がすでに販売している。トヨタ自動車やホンダなどの国内勢は2025年度以降の本格投入を予定している。

京浜急行バスと東急バスが自動運転バスの共同実証実験

京急グループの京浜急行バス、東急バスおよび東急は5月15日、共同で自動運転バスの実証実験を行うと発表した。期間は5月28日から6月3日。京急バスは能美台エリア(横浜市)、東急バスは虹ヶ丘・すすき野エリア(川崎市・横浜市)でそれぞれ自動運転バスを運行する。遠隔監視設備を京急グループ本社に設置し、1人の遠隔監視者が異なるエリアで運行する2社2台の自動運転バスを運行管理する。

CO2削減と経済性両立するフィルム包装材技術を共同開発

東レ、Dow、COMEX1、サカタインクス、SGK JAPANは5月15日、共同でプラスチック使用量自体を削減するとともに、印刷工程で発生するCO2を大幅に削減可能な「表刷りモノマテリアルフィルム包装材技術」を開発したと発表した。この包装材はリサイクル性、CO2削減効果に加えて、製造プロセスが短くなることからコスト削減や納期短縮につながることが期待される。
今後、各社はこの印刷技術で連携し、食品や日用品向けフィルム包装への標準化に向けて、流通やブランドオーナーに対して開発品の提案を進め、フィルム包装業界の環境負荷低減や持続可能な社会の実現を目指していく。