エーザイ認知症薬レカネマブ 米FDA諮問委が正式承認勧告

米食品医薬品局(FDA)は6月9日、エーザイと米バイオジェンが共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」に関する諮問委員会を開き、正式承認を推奨すると勧告した。これを受け、FDAは7月6日までに可否を判断する予定。米国ではレカネマブは2023年1月にFDAが下した”仮承認”ともいえる迅速承認の状況にある。
米国で正式承認されれば日本や欧州など世界で一気に普及が進む可能性がある。レカネマブはFDAが迅速承認した際、提出された治験のデーターでは、早期アルツハイマー病患者に対し、認知機能の悪化スピードを27%遅らせる効果が示されている。

鹿島 「KaCLASS」開発 巨大地震の長周期地震動の揺れを低減

鹿島(本社:東京都港区)は6月6日、巨大地震に伴い発生する長周期地震動による超高層建物全体の揺れを、従来の耐震・制震架構と比べ大幅に低減する制御層制震構造「KaCLASS(R)」(特許出願済み)を開発したと発表した。
KaCLASSは、同調質量ダンパの原理を応用した制免震技術。建物高さの70%程度の位置に設けた制御層が地震時に変形することで、制御層から上の躯体には免震効果を、下の躯体にはTMD制震効果を与え、建物全体に大きな制御効果を付与するもの。今回、このKaCLASSを阪急阪神不動産(本社:大阪市北区)が事業を進める超高層タワーレジデンス「ジオタワー大阪十三」(所在地:大阪市淀川区)に初導入した。

慶応大 iPS活用で発見のALS治療薬 効果確認 24年にも最終治験

慶應義塾大学の研究チームは6月2日、米科学誌『セル・ステム・セル』に、全身の筋肉が徐々に衰えていくALS(筋萎縮性側索硬化症)について、iPS細胞を使った研究で見つけた治療薬候補を患者に投与した臨床試験(治験)の結果を公表した。2024年にも規模を拡大した最終段階の治験を始め、治療薬として実用化を目指す。
今回、既存の薬剤の中から見い出した治療薬候補が、パーキンソン病の薬「ロピニロール塩酸塩」で20人の患者が参加した医師主導の治験で、運動機能の低下など病気の進行を推定約7カ月遅らせる効果があることや安全性を確認したとしている。

東京都 次世代「ペロブスカイト太陽電池」実証実験開始

東京都は大手化学メーカーと共同で5月24日から、フィルム状の薄くて折り曲げることが可能な次世代の太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」の国内最大規模の実証実験を開始した。場所は大田区の下水処理施設。同施設内にはおよそ9㎡にわたって、フィルム状のペロブスカイト太陽電池が設置され、最大1KWの電力を発電できるという。都は発電効率や耐久性を検証したうえで、2025年からの実用化を目指している。
ペロブスカイト太陽電池は、薄いフィルムに「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶の構造をした物質を塗布するだけ。このフィルムが極めて微弱な太陽光でも電気に変える、次世代の太陽電池として注目されている。

東工大など4者が「富岳」で生成AIの言語モデルの研究開発開始

東京工業大学、東北大学、理化学研究所、富士通の4者は5月22日、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した大規模言語モデルの分散並列学習手法の研究開発を、2023年5月から実施すると発表した。大規模言語モデルはChatGPTをはじめとする生成AIの中核として使用される深層学習のAIモデルで、4者は今後、今回の研究開発の成果物を公開することで、アカデミアや企業が幅広く使える大規模言語モデルの構築環境を整え、国内のAIの研究力向上に貢献し、学術および産業の両面で「富岳」の活用価値を高めることを目指す。

産総研・JST バイオマス由来のPBSとPA4組み合わせた新素材

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)触媒化学融合研究センターと、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は5月19日、共同でバイオマス由来のポリエステル(PBS)とポリアミド(PA4)を組み合わせた新しいプラスチック素材を開発したと発表した。この新素材は透明なフィルムとして成形することが可能で、フィルムは汎用プラスチック水準の強度があり、引き伸ばすほど強度が増すという特徴があるという。このため、この新素材の複合材料は、既存の汎用プラスチックフィルムや繊維の代替品や、医療プラスチックへの応用が期待される。

理研・インテル 量子計算機、スパコンを共同研究の覚書

理化学研究所と米インテルは5月19日、量子計算やスーパーコンピューター(スパコン)などの分野で共同研究を進める覚書を締結したと発表した。人工知能(AI)の高度化などに対応できる計算能力を確保する。理研は量子計算と従来のコンピューティング技術の掛け合わせなどにより、計算基盤を高度化する。インテルは量子コンピューターを動作させる制御チップや、ソフトウエアの開発キットなどを手掛ける。両者の協力により、求められる「ゼタ(ゼタは1兆の10億倍)」スケールの計算能力に必要な技術や応用の可能性などを探る。

家庭から排出される廃プラスチックを水素へ 官民の検討会発足

岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社は5月18日、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の実現に向けて、14の会員自治体と12のオブザーバーとともに、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会を発足し、第1回検討会を実施したと発表した。水素製造開始は2020年中ごろを目標とする。水素製造能力は1.1万トン/年(廃プラ回収量:8万トン/年)。
同検討会では、再商品化手法の一種であるガス化ケミカルリサイクルを用いた各地域の大規模プラスチック資源循環システムの構築と、中部圏での先進的な地産地消低炭素水素供給システムの確立を目的とし、各地域で発生する廃プラスチックの効率的な収集を検討していく、

核融合発電の京大発ベンチャーに17社が105億円を出資, 後押し

次世代のエネルギー減として期待される核融合発電の研究開発を手掛ける京都大学発ベンチャー企業に、政府系ファンドや電力会社、大手商社など17社が合わせて105億円を出資し、官民で実用化に向けた動きを後押しすることになった。
この企業は、京都大学エネルギー理工学研究所の研究者らが立ち上げた「京都フュージョニアリング」で、世界初と鳴る小規模な実験用の発電プラントの建設を進めている。出資するのは政府系ファンドのJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱商事、三井物産、関西電力のグループ会社など。

中越パルプと丸紅 CNF使用の化粧品用途向け原料の販売開始

中越パルプ工業(東京本社:東京都千代田区)と丸紅(本社:東京都千代田区)は5月17日、中越パルプが製造するACCセルロースナノファイバー(以下、CNF)「nanoforest(R)」を使用した化粧品用途向け原料の販売を開始したと発表した。中越パルプが製造するCNFは、原料に未利用竹材を含む国産竹100%の天然繊維を使用。用途に合わせた形態で提供できることに加え、これを配合することで増粘性や触感改良機能、顔料分散安定性、洗浄性、保湿性、乳化安定性などを付与できるという。