通貨防衛へインドネシア政府・中銀が緊急経済対策
経済成長の鈍化と資金流失の加速に苦慮するインドネシア政府・中央銀行は8月23日、①貿易収支の改善②投資促進・輸出産業の拡大③金融の流動性の向上-などを骨子とする緊急経済対策を発表した。通貨ルピア安の主因となっている経常赤字体質の改善に向け、短期的には一部輸入品の増税や鉱物輸出の制限緩和で貿易収支の黒字化を模索。中長期的には輸出産業育成のため、企業向け税優遇を拡大する。ただ、米国の量的金融緩和の縮小観測が続く中、どこまで実効性があるかは不透明で、手詰まり感は否めない。
インドネシア中央銀行のマルトワルドヨ総裁は同日の会見で、「通年では経常収支の悪化を封じ込める」と通貨ルピア安を抑制する決意を強調。政府は今年の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを従来の6.3%から5.9~6.0%に下方修正した。
23日の株価指数「ジャカルタ総合」は前日比0.04%安い年初来安値の4169.83で取引を終え、政府が打ち出した対策への反応は鈍かった。ただ、市場は政府が輸出産業の育成や金融市場の流動性向上でどんな対策を打ち出すかを重要視している。