ASEANは日本に覇権競う米中とは違う指導力を期待
欧州の経済統合から半世紀遅れたが、ASEAN(東南アジア諸国連合)も遂に経済統合に踏み込み、2015年末までの経済共同体の創設を決めた。だが現実の交渉は、リーダー役を務める国、すなわちエンジンを欠き、その歩みは遅い。ASEAN諸国が参加する国際首脳会議の場でも、大国・米国と中国に挟まれ、戸惑うASEANの姿が浮き彫りになっている。自由化の難題を突きつける米国、衣の下に力ずくでものヨロイがのぞく中国。そんな両大国に、ASEAN諸国は本心では好意を寄せてはいない。
そんなASEANの置かれた現況に、日本はどう向き合うのか。強引なトップダウン方式ではなく、幸か不幸か、これまでじれったいほどに、じっくり時間をかけて、企業の供給網を通じ実体経済の結合を深めてきた日本の立場は、明らかに米中とは違う。覇権を競う米中とは違う指導力の発揮を日本に期待している。アジアを重視する日本だからこそ、首脳外交の場で交わされる「アジアにおける日本の役割に期待する」の相手国のコメントに、もっともっと耳を傾ける必要があるのではないか。