WTO 6年ぶり閣僚宣言を採択 食糧危機対応で一致

スイス・ジュネーブで開催されていた世界貿易機関(WTO)の閣僚会議は6月17日、約6年半ぶりに閣僚宣言を採択し閉幕した。ロシアのウクライナ侵攻で生じた食糧危機に対応するため、不要な輸出規制を導入しないことで一致した。また、海洋資源の乱獲につながる漁業補助金を規制することで合意した。閣僚宣言の採択は、2015年12月に開かれたナイロビ会合以来。

日本 カンボジアの若手行政官の学位取得を支援

日本政府は、カンボジアの次代を担う若手行政官等が日本の大学院で学位(修士・博士)取得を支援するため総額3億6,300万円を供与限度額とする無償資金協力する。
カンボジアの首都プノンペンで6月13日、三上正裕カンボジア日本国特命全権大使と、プラック・ソコン・カンボジア副首相外務副大臣との間で、この書簡の交換が行われた。これにより、最大26名のカンボジアの若手行政官が日本の大学に留学する。

日本 フィリピンの医療器材などに7.1億円を支援

日本政府は、フィリピンの巡視船用発電機および医療器材合わせて7億1,000万円を無償資金協力する。内訳は、海上法執行能力の向上支援に2億1,000万円、パンサモロ地域の保健サービスの向上支援に5億円。
フィリピンの首都マニラで6月9日、細川和彦駐フィリピン日本国特命全権大使と、テオドロ・L・ログラン外務大臣との間で、この2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われた。

進む世界分断浮き彫り アジア安全保障会議閉幕

シンガポールで3年ぶりに開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)が6月12日、3日間の協議を終え閉幕した。同会議には米中を筆頭に30カ国超の閣僚が出席した。
同会合は米中の激しい応酬により進む世界の分断と、その狭間でいずれにも与することもできず戸惑い、ただ見守るだけのアジア太平洋地域の国々の立ち位置が浮き彫りになった。やはり目立ったのは米中の対立。台湾政策を巡って6月11日に行ったオースティン米国防長官の演説に対し、翌12日、中国の魏鳳和国務委員兼国防相が演説、一歩も引かず対抗姿勢を鮮明にした。

日中防衛相会談 現状変更の試みに「強い懸念」懸念

岸信夫防衛相は6月12日、訪問先のシンガポールで中国の魏鳳和国務委員兼国防相と会談した。この会談で岸氏は、日中間には安全保障上の問題を含め多くの懸念材料があることを指摘し、とりわけ中国が沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東・南シナ海で、力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続していることに「強い懸念」を伝え、自制を求めた。
両氏は自衛隊と中国軍幹部間のホットライン(専用電話)の早期開設に向け、調整を加速させることで一致した。そして今後、率直な意見交換を通じ、両国間の協力関係を強化するとともに、建設的で安定的な関係の構築を目指す意向を示した。
日中防衛相の対面での会談は、2019年12月以来2年半ぶり。

岸田首相「国際法・ルールの順守を」講演

岸田首相は6月10日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で講演し、国際法やルールの順守を訴えた。冒頭でウクライナ侵攻について、「この会場におられるすべての方々、国々が”我が事”として受け止めるべき」と強調。ウクライナ侵攻は「対岸の火事ではない」と指摘した。
これらは、ウクライナ侵攻についてアジア諸国の受け止めに、はっきりと温度差があることを踏まえた発言だ。また、岸田氏は中国を念頭に東・南シナ海などにみられる、現状変更の試みを批判した。

日本 非常任理事国に選出 5年ぶり最多の12回目

国連造会で6月9日、安全保障理事会の非常任理事国のうち5カ国が改選され、日本、モザンビーク、エクアドル、マルタ、スイスの5カ国が選出された。日本は加盟国最多の12回めの当選となった。任期は2023年1月からの2年間。前回の2016年〜2017年以来5年ぶりとなる。
林芳正外相は今回の選出を受け「各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じ、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化を目指す」との談話を発表した。
安全保障理事会は、拒否権を持つ米英仏中ロの常任理事国5カ国と、毎年5カ国が改選となる非常任理事国10カ国で構成される。国連で唯一、加盟国への法的拘束力のある決議などの措置を実行できる。

日本 ウクライナに650億円の緊急追加支援

日本政府は6月7日、ウクライナ650億円の「緊急経済復興開発政策借款」を実施することで、同国と書簡を交わした。都内で同日、鈴木貴子外務副大臣と、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使が書簡に署名した。
今回の追加供与により、同国への有償資金協力額は780億円となる。