クマ狩猟 市街地でも可能に 環境省が法改正方針

環境省の専門家検討会は5月23日、2023年度に過去最多の人的被害が出たクマ対策について、一定の条件下で市街地での銃猟が可能となるよう鳥獣保護管理法の改正を柱とする対応方針案を議論した。その結果、法改正を目指す見通しとなった。検討会は夏ごろに方針として正式に取りまとめる予定。
環境省によると、現行法ではクマが市街地に現れた場合、ハンターらが銃猟できるのは警察官が警察官職務執行法に基づき命じた場合などに限られている。このため、クマによる人的被害の恐れが生じている場合、特例的に市街地での銃猟を認めるべきだとしている。
全国に広がる2023年度のクマに人的被害は、把握できる2006年度以降で最多の198件、219人に上っている。

昨年度の実質賃金2.2%減 物価高で2年連続マイナス

厚生労働省が行っている、従業員5人以上の事業所3万社余りを対象とした「毎月勤労統計調査」によると、昨年度の働く人1人あたりの実質賃金は前年度比2.2%減少した。基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた働く人1人あたりの現金給与の総額は平均で月額33万2,533円で、前年度比1.3%増え、3年連続でプラスとなった。
内訳ではフルタイムが前年度比1.7%増の43万8,696円、パートタイムが同2.4%増の10万5,989円となった。いずれも統計を取り始めた平成5年度以降、最も高くなっている。ただ物価高により、実質賃金増が追い付かなかった。

25年万博で顔認証決済を導入 事前に顔・カード登録を

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運営主体の博覧会協会は5月23日、万博会場での買い物や食事の支払いに顔認証を使ったキャッシュレス決済を導入すると発表した。利用者は事前に専用のアプリで顔写真と万博独自の電子マネーやクレジットカード登録し、支払いの際に機械のカメラで顔を読み取って本人確認を行い、決済が完了する仕組み。
大阪・関西万博ではキャッシュレス決済が全面的に導入されるが、利用者が顔認証による決済を選ぶことでさらに利便性が高まる。

石川県 能登半島地震の関連死30人初認定 犠牲者260人に

石川県は5月23日、能登半島地震による災害関連死として3市町の計30人が認定されたちお発表した。関連死の正式認定は初めて。この結果、地震の犠牲者は建物倒壊などによる直接死230人と合わせ260人となった。関連死に認定された人の遺族には、災害弔慰金支給法に基づき最大500万円が支給される。

改正育児・介護休業法成立 子どもの対象年齢を拡充支援

育児と仕事の両立を支援するため、これまで子どもが3歳になるまでが中心だった措置を拡充することを盛り込んだ改正育児・介護休業法などが5月24日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。2025年4月以降、順次施行する。
改正育児・介護休業法は、新たに企業に対し①残業の免除対象を3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親にも広げる②3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親を対象に、短時間勤務制度や始業時間の変更、テレワーク、時間単位で取得できる休暇の付与など、複数の制度の中から2つ以上を設けることを義務付ける③子どもの「看護休暇」の取得を、感染症に伴う学級閉鎖や、入学式など行事への参加もできるようにし、対象を小学3年生まで広げる④男性の育児休業の取得状況の公表義務を、これまでの「従業員が1,000人を超える企業」から「300人を超える企業」に広げるとともに、目標設定を100人を超えるすべての企業に義務付けるーとしている。
一方、介護との両立をめぐっては、支援制度を利用せずに離職に至るケースが多いことから、企業に対し①家族の介護が必要となった従業員に介護休業等の制度を周知し、取得の意向を確認する②介護に直面していない従業員にも早めに制度を周知することを義務付けるーとしている。

中尾彬さん死去 81歳 映画、バラエティー番組で活躍

映画やドラマ、バラエティー番組で活躍した俳優の中尾彬(なかお・あきら)さんが5月16日、心不全のため亡くなった。81歳だった。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻で俳優の池波志乃さん。池波さんとは”おしどり夫婦”としてテレビ番組やCMに出演。絵画や陶芸など多趣味で知られた。

袴田巌さんに検察が死刑を求刑 「袴田事件」再審公判

静岡地方裁判所で5月22日、袴田巌さんの再審、やり直し裁判の検察の求刑と弁護側の最終弁論が行われた。検察は死刑を求刑した。無罪が言い渡される公算が大きいとみられる中で、検察は新事実がないまま有罪主張にこだわり、極刑を求めた。
検察は論告で「4人を殺害した犯人は袴田さんだと認められる」「強固な殺意に基づいた極めて冷酷で残忍なもの」などと説明。検察の論告を受け、弁護側は「検察側はまた冤罪事件をつくろうとしている」と強く批判した。
判決の言い渡しは9月26日に行われる。死刑囚に対する再審公判での死刑求刑は戦後5件目。過去の4件はいずれも無罪判決が出ている。

1人年間4万円 定額減税6月から 給与明細に明記

「露骨な選挙対策」「企業の事務作業が増える」など痛烈な批判を受けながら、政府がこだわった定額減税が6月からスタートするが、その実施の詳細が明らかになった。
定額減税は1人当たり所得税3万円、住民税1万円の年関計4万円。給与所得者は扶養家族の分も含め6月以降に支給される給与やボーナスに反映される。政府は所得税の減税額を給与明細に記載するよう企業に義務付けている。
住民税については6月分は徴収されず、給与明細では「0円」となる。7月以降の11カ月で減税が反映された納税額が徴収される。

京大 iPS細胞から精子, 卵子のもと大量作製成功, 医療応用

京都大学高等研究院の斎藤通紀教授らのグループは5月21日、ヒトのiPS細胞から卵子、精子のもとになる細胞を大量につくり出す方法を開発したと発表した。これにより、将来的に不妊治療など医療への応用が期待される。
グループはヒトのiPS細胞から生殖細胞のもとになる細胞をつくり、さらに卵子のもとになる「卵原細胞」に変化させる方法を開発しているが、できる細胞の数が少ないことが課題だった。今回グループは、様々な細胞の分化を助ける働きをする「BMP」というタンパク質を加えて培養したところ、課題だった「卵原細胞」を大量に作製することに成功したという。細胞の数は4カ月の培養期間でおよそ100億倍に増えた。また、同じ方法で精子のもとになる細胞も大量に作製することができたとしている。

手紙の郵便料金84円→110円に引き上げ 10月に改定

政府は5月21日、物価問題に関する関係閣僚会議を開き、手紙(25g以下の定形郵便物)の郵便料金の上限を現行の84円から110円に引き上げる改定案を了承した。これを受け、総務省は6月中旬をめどに省令を改正し、日本郵便は10月ごろに110円に改定する見通し。はがきは現行の63円から85円に見直す。定形外郵便物などは一部を除き約30%引き上げる方針。郵便料金の値上げは消費税増税時を除き、1994年以来30年ぶりとなる。