最高裁 原発事故の国の責任否定 賠償はすべて東電に

最高裁第2小法廷は6月17日、東京電力第一原子力発電所の事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟について、原発事故を巡る国の賠償責任を認めない判決を言い渡した。国が東電に安全対策を命じても事故を防げなかった可能性が高いと判断した。原発事故による避難者が各地で起こした約30件の集団訴訟で、最高裁が国の賠償責任について判断したのは初めて。
この結果、賠償責任はすべて東電が負うことになった。今後は訴訟に加わっていない避難者にも適用される、賠償基準の指針を見直すかどうかが焦点になる。

羽生善治九段が公式戦通算最多の1,500勝達成

将棋の羽生善治九段(51)は6月16日、大阪市の関西将棋会館で指された第81期名人戦順位戦B組1組の1回戦で山崎隆之八段(41)を破り、節目の公式戦通算1,500勝(654敗、勝率6割9分6厘)を挙げ、前人未到の自身の最多記録を更新した。
歴代2位は故大山康晴15世名人の1,433勝で、3位は谷川浩司17世名人(60)の1,364勝。

近畿の5月貿易収支 4カ月ぶり赤字 資源価格高騰響く

大阪税関がまとめた近畿2府4県の5月の貿易概況によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は492億円の赤字だった。貿易赤字は4カ月ぶり。エネルギー価格の高騰に伴い、輸入額が急増した。その結果、輸入額は前年同月比48.8%増の1兆7,233億円に膨らんだ。輸出額は同21%増の1兆6,741億円だった。
中でも「天然ガスおよび製造ガス」の輸入額が1,098億円に上り、5月として過去最高となったのをはじめ、足元で続く円安・ドル高の動きが輸入物価を押し上げた。

食べログ側に賠償命令 司法「ブラックボックス」に一石

東京地裁は6月16日、飲食店の口コミサイト「食べログ」のアルゴリズム(計算手法)を巡り、サイト運営のカカクコムに約6億4,000万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告のチェーン店側に軍配を上げた。優越的地位の濫用にあたると判断、カカクコムに3,840万円の支払いを命じた。
食べログは消費者の8割が参照しており、運営の”ブラックボックス”ぶりへの不満があった。裁判所がこれに応えたことで、プラットフォーム企業に透明性を求める圧力は強まるとみられる。

関西企業4〜6月期業況は2四半期連続マイナス

関西経済連合会、大阪商工会議所は6月16日、会員企業の経営・経済動向調査の結果を公表した。これによると2022年4〜6月期の自社の業況判断指数(BSI,「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値)はマイナス8.0と、2四半期連続でマイナスとなった。1〜3月期に比べて、マイナス幅は1.0ポイント拡大した。原材料価格の高騰などが影響したとみられる。
規模別にみると、大企業はマイナス8.9と4四半期ぶりにマイナスに転じた。中小企業はマイナス7.3と、マイナス幅は6.5ポイント縮小した。7〜9月期は7.0、10〜12月期16.0とプラスに転じる見通し。
調査は5月12〜30日、両団体の会員企業1,552社を対象に実施。304社から回答を得た。

中国の5月小売売上高3カ月連続減 内需不振

中国国家統計局が6月15日発表した5月の経済統計によると、小売売上高は前年同月比6.7%減少した。前年割れは3カ月連続。政府の”ゼロコロナ”政策で厳しい外出制限に伴い、内需が落ち込んでいるためだ。物流の混乱が和らいだ工業生産は0.7%増とプラスに転じたが、低調な伸びにとどまった。

5月訪日外客 ベトナムが最多で3万9,000人,2位中国

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、5月の訪日外客は14万7,000人で、最多がベトナムの3万9,000人だった。以下、中国が1万7,600人、韓国が8,800人、インドネシアが8,700人で続いている。
新型コロナウイルス流行前は、訪日外客のトップは中国が頭抜けていた。だが、同国政府がコロナ対策で”ゼロコロナ”政策を掲げ、国民に厳しい行動制限を科してからは、国・地域別で数値的には多い部類に属しているがものの、上海市や北京市で大規模なPCR検査実施の最中にあり、かつての勢いはない。回復軌道に乗れば、消費額も含め中国の復活が待たれる。

5月の派遣時給0.1%高 4カ月連続で全職種上昇

人材サービス大手エン・ジャパンによると、5月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏(関東・東海・関西)で前年同月比2円(0.1%)高い1,596円だった。企業の採用意欲が回復。時給は4カ月連続で、全7職種で前年同月を上回った。
職種別にみると、「オフィスワーク系」が前年同月比34円(2.2%)高の1,595円、「医療・介護系が同36円(2.7%)高の1,363円、「旅行関連」が同7円(0.5%)高の1,442円だった。

「県民割」7月前半に全国拡大 岸田首相が表明

岸田首相は6月15日、都道府県による観光割引キャンペーン「県民割」への国の支援について、7月前半から対象の旅行先を全国に広げると表明した。現在は全国を関東や近畿など6つのブロック内に限定している。新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、国内の観光需要を喚起していく。
政府は地域観光支援事業として、「県民割」に1人1泊最大7,000円分を補助する。

岸田首相「感染症危機管理庁」新設を表明

岸田首相は6月15日、医療・公衆衛生分野の危機に備えるため、内閣官房に「内閣感染症危機管理庁」を新設すると表明した。新型コロナについて、世界で新たな変異型が報告されていることから、「まだまだ気を緩めることはできない」とし、社会経済活動との両立を図る”ウィズコロナ”時代の備えが必要との慎重な判断を示した。