理研と京大 マウス人工冬眠で手術時の臓器負担軽減

理化学研究所と京都大学のチームは11月14日、マウスの脳にある特定の神経を刺激して冬眠に近い状態にし、手術時の臓器への負担を軽減できる可能性を確認したと発表した。人で実用化できれば、体に優しい手術が可能になると期待される。
実験では、本来は冬眠しないマウスの「Q神経(休眠誘導神経)」を刺激して冬眠状態にし、実際の血管手術を想定して大動脈の血流を遮断。冬眠状態にしないマウスと比較すると、腎臓への負担を示す数値が低いことを確認した。

NTTとメディカロイド 遠隔手術ロボット環境を実証

日本電信電話(本社:東京都千代田区、以下、NTT)とメディカロイド(本社:神戸市)は11月15日、将来一般化していくと想定される遠隔手術の実現に向けた研究として、国産の手術支援ロボット「nihotori(TM)サージカルロボットシステム」と、IOWNオールフォトニクス・ネットワーク(以下、APN)を接続することで、物理的に離れた環境を1つの環境のように統合し、手術室の状況をよりリアルに伝送でき、コミュニケーションがスムーズに行える場の共有をめざした共同実証を開始したと発表した。
NTT武蔵野研究開発センター内に大容量・低遅延・遅延ゆらぎほぼゼロの特徴を持つAPNの実証環境(100km以上)を構築。その環境下でメディカロイドのninotoriサージカルロボットシステムを接続、技術実証した。

センコー アパレル商品リサイクルへ「ゼロブランズ」

物流大手のセンコーグループホールディングス(本社:東京都江東区)は11月14日、傘下のセンコー(本社:大阪市北区)が物流センターで預かるアパレル商品在庫の廃棄ゼロを支援するため、商品の再生加工、再販売、リサイクル等の機能を備えた業界初のプラットフォーム運営に向け、新たに「「ゼロブランズ」(本社:東京都江東区)を8月に設立、11月15日に公式サイトをオープンすると発表した。
社名の”ゼロ”は廃棄ゼロの実現、”ブランズ”は信頼ある、価値ある商品・企業が集まると意味を込めた。2023年9月に一般向けEC販売サイトをオープンする予定。

明電舎 シンガポールMRTトムソンイースト線を完工

明電舎(本社:東京都品川区)は11月14日、シンガポールの現地法人Meiden Singapore Pte.Lyd.(以下、明電シンガポール)が、シンガポールのLand Transport Authority(陸上交通庁)から、単独受注したトムソン・イーストコースト線向け鉄道用電力設備(Contract T253)のStage3を2022年5月11日に完工し引き渡していたが、この路線が11月13日に開通したと発表した。
トムソン・イーストコースト線は、シンガポール北部のウッドランズから中央部の住宅街を抜け、南部中心市街地を経由して東部にあるスンガイベドックに至る全長43km・32駅の通勤路線。このうち明電シンガポールは、車両基地および22駅の鉄道用電力設備一式(stage1〜3)を受注し、コンストラクターとして電源設備、監視装置の基本設計から製造・据付・試験調整・引き渡しまで一貫して手掛けた。

ニトリHD 23年末までに中国本土100店舗へ拡大

家具・インテリア用品チェーン最大手のニトリホールディングス(本社:札幌市)の似鳥昭雄会長はこのほど、中国本土における店舗展開について、2023年度末までに100店舗まで拡大する計画を明らかにした。
同社は11月4日、北京市へ初出店。中国で58店舗目となる「北京銀座和諧広場店」(約1,370㎡)、59店舗目となる「北京豊台永旺(イオン)店」(約2,870㎡)を同時オープンした。北京豊台永旺店はニトリとして中国最大級の店舗で、家具や生活雑貨など1万点を揃え、都市圏の需要喚起を狙う。
ニトリは中国で既に湖北省、天津市、上海市、四川省、広東省、江蘇省、浙江省、山東省、湖南省など多くの都市で店舗展開しているが。北京市への出店は今回が初。

IHI子会社 有害物質半減のタグボート用エンジン販売

IHI(本社:東京都江東区)のグループ会社、IHI原動機(所在地:東京都千代田区)は11月11日、排ガス中の有害物質を半減するタグボート用のエンジンを販売開始したと発表した。同等の出力のタグボート用中速エンジンでは国内で初めて燃料噴射を電子制御する装置(コモンレールシステム)を搭載している。年間10台、スクリュー部分を含めて25億〜30億円の売上高を目指す。

関西大手私鉄4〜9月決算 最終利益伸ばす 利用者回復

関西の大手私鉄の4〜9月(上期)決算が11月11日出揃った。新型コロナウイルスによる行動制限がなくなり、鉄道やホテルの利用者が回復したことで、前年同期と比べ各社とも最終利益を大きく伸ばした。
近鉄グループホールディングスは前年同期と比べ、売上高が2.1倍の6,230億円、最終利益が5.3倍の43億円となった。このほか、他社も大きく伸ばし最終利益が、緩急阪神ホールディングスは5.3倍の310億円、京阪ホールディングスは5.3倍の105億円、南海電鉄は4.4倍の71億円だった。
ただ、各社の鉄道事業はコロナ禍前の水準には戻っていない。このため、各社は鉄道以外の事業の育成・強化が引き続き課題となる。

ダイハツ 中国の電池大手CATLとEV電池供給で覚書

ダイハツ工業(本社:大阪府池田市)は11月11日、中国の車載電池大手、Contenmporary Amperex Technology Co.,Limited(以下、CATL)との間で、電気自動車(EV)の電池供給で覚書を締結したと発表した。ダイハツはCATLと電池の低コスト化に取り組み、軽自動車や小型車のEV電池を安定的に調達できる体制を整え、2025年までにEVを市場投入する計画。

オリックス DHCを子会社化 23年3月までに全株取得

オリックス(本社:東京都港区)は11月11日、化粧品・健康食品大手ディーエイチシー(DHC、本社:東京都港区)の過半数の株式を保有する大株主、吉田嘉明会長兼社長から全株を譲り受け、同社を子会社化すると発表した。残りの株式も既存株主から取得する方針で、買収額は総額3,000億円規模となる見通し。株式譲渡は2023年3月までに完了する予定。吉田氏は株式譲渡終了後に退任する予定。

マツダ ロシア生産から撤退発表 特損120億円

マツダは11月10日、ロシアにおける生産事業から撤退すると発表した。極東ウラジオストクの製造販売会社の保有株式を、すべて合弁先のソラーズ社に1ユーロで売却することを決め同日、譲渡契約を締結した。この譲渡契約には今後3年間は売却した株式を買い戻せる権利が盛り込まれている。
同社はロシアのウクライナ侵攻を受け、今春から生産活動を停止していた。今回の譲渡に伴い約120億円の特別損失を計上する見込み。