23年の国際特許出願 前年比1.8%減 減少は14年間で初

世界知的所有権機関(WIPO)によると、2023年の特許の国際出願件数は前年比1.8%減の27万2,600件にとどまった。前年に比べ出願件数が減るのは、この14年間で初めて、
国別では中国が引き続き1位だったが、件数は6万9,610件と前年比微減だった。2位の米国は5.3%、3位の日本は2.9%それぞれ減少した。世界的な金利上昇によりイノベーションへの投資資金が回りづらくなっていることが主な要因としている。

西松建設 アサヒ飲料と協業しカーボンネガティブコン開発

西松建設は3月6日、アサヒ飲料とともに製造過程でのCO2の排出量がマイナスとなるコンクリートの開発に着手したと発表した。これはアサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」により、大気中のCO2を吸収した特殊材を活用し、コンクリートに練り混ぜることによって、CO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブなコンクリートを実現するもの。両社は十分な強度を持つコンクリート材料となることを確認し、今後実施工への適用に向けた取り組みへ進める。
日本国内での生コンクリート年間出荷量は約7,500万㎥(2022年度)とされる。例えばこのうちの0.1%を開発中のコンクリートに置き換えるだけで、毎年27万本の杉の木と同等のCO2削減効果が見込まれる。これは森林の広さで東京ドーム約77個分に相当する。

SkyDrive スズキと磐田市で「空飛ぶクルマ」製造開始

「空飛ぶクルマ」および物流ドローンの開発を手掛けるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)は3月7日、スズキ(本社:静岡県浜松市)の協力のもと、製造子会社Sky Works(所在地:静岡県磐田市、スカイワークス)を通じて、スズキグループの磐田市の工場で空飛ぶクルマの製造を開始したと発表した。
スカイワークスは、従業員の約半数がスズキからの出向で自動車の組立の経験・知見が豊富。2023年9月から空飛ぶクルマの試作および組立手順書の作成など準備を進めてきた。
同工場ではまず大阪・関西万博で飛行を計画している「SKYDRIVE(SD-05型)」、その後、顧客に販売していく製品を順次製造していく予定。

関電 空飛ぶクルマで韓国Solyuと提携, 充電設備を供給

関西電力(本社:大阪市北区)は3月4日、韓国の航空機リース会社、Solyu(ソリュ−、本社:ソウル)と、空飛ぶクルマの充電設備を供給することで業務提携したと発表した。関電、ソリュ−両社は空飛ぶクルマの充電設備のリース先などを探る新たなビジネスモデルにも取り組む。
関電は現在SkyDriveやAerospaceなどの空飛ぶクルマの機体メーカーと連携し、充電設備開発に取り組んでおり、今後とも開発、導入を進め、空飛ぶクルマの社会実装を推進していく。

塩野義のコロナ飲み薬「ゾコーバ」厚労省近く通常承認

厚生労働省の専門家部会は3月4日、塩野義製薬(本社:大阪市中央区)が開発した国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、製造販売の通常承認を了承した。近く厚労省が正式に承認する。
ゾコーバは2022年11月、軽症・中等症患者向けの治療薬として緊急承認されていた。医療機関の治療実績として、体内のウイルス量減少など薬の有効性を示す追加データを踏まえて問題ないと判断した。

塩野義と阪大「ゾコーバ」のコロナ後遺症抑制効果を研究

塩野義製薬」(本社:大阪市中央区)は3月1日、大阪大学(本部所在地:大阪府吹田市)と共同で新型コロナウイルス感染症の治療薬「ゾコーバ」が後遺症を抑制する効果について、臨床研究を始めたと発表した。3月1日から阪大に設置する共同研究講座で2,000人を対象に進める。
同社は、ゾコーバが過去の臨床研究(治験)で副次的に新型コロナの後遺症を抑制することを確認済み。今回後遺症を主な対象とした研究を改めて実施することで、発症の抑制効果と安全性など詳しく調べる。

参天製薬 近視抑制点眼薬を承認申請 国内初 子ども想定

参天製薬(本社:大阪市北区)は2月28日、近視の進行を抑える点眼薬について、国内での製造販売承認を申請したと発表した。子どもへの処方を想定したもので、承認されれば国内初の近視抑制薬になるという。治験では良好な結果を得ているとしている。同社では中国などでも承認申請を予定している。

ホンダ 充電できる燃料電池車 今夏から日本で発売

ホンダ(本社:東京都港区)は2月28日、新型の燃料電池車(FCV)、多目的スポーツ車(SUV)「CR-V e-FCEV」(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」を米国で生産して輸入、2024年夏より日本で発売すると発表した。燃料電池はゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した。価格は現時点では未定。
この新型車両は、日本勢で初めて充電できるプラグイン機能を備えたFCVだ。水素は約3分で満充填にできるほか、電池だけで60km以上走れるという。

ニデック AIR VEV社が2人乗りeVTOL機用モータ共同開発

ニデックは2月22日、グループ会社のニデックモータと個人向けeVTOL(電動垂直離着陸機)を製造するAIR VEV社(以下、AIR社)が開発中の2人乗りのeVTOL機(空飛ぶクルマ)「AIR ONE(エアワン)」の生産モデル開発向けモーターの共同開発で合意したと発表した。
AIR社は2018年にイスラエルで設立されたeVTOL開発・製造企業。開発中のAIR ONEはすでに1,000台以上の予約を獲得しており、機体認証取得後、初期受注分を納入する予定。今後AIR社およびニデックの子会社、ニデック・エアロスペースの両社は中型eVTOL専用のモータを設計・開発し、現在急成長中の次世代モビリティ業界で、まだどの企業も参入していない分野の開拓を目指す。

筑波大 難治性の脳のがんに世界初の独自治療法 治験開始

筑波大学(所在地:茨城県つくば市)は2月22日、難治性がんの一種、こう芽腫という脳の病気に対して次世代の治療法で治験を開始すると発表した。同大学はつくば市の高エネルギー加速器研究機構などと連携し、独自に開発した照射装置と治療薬を組み合わせた「BNCT」という治療法で、初めてこう芽腫と診断された患者への治療を始めるという。BNCTはがん細胞に取り込んだ「ホウ素」に中性子を照射し、がん細胞を破壊する治療法。