広島大病院など 歯周炎で骨喪失 再生へ移植用材料開発

広島だ病院と九州大発の医療ベンチャー、サイフューズ社(所在地:東京都)は12月5日、歯周炎で失った骨などの組織を再生させる移植用材料を開発したと発表した。同社はバイオ3Dプリンターを使って細胞塊を積み重ね、約5ミリ角の移植用材料を作製することに成功。歯周組織を欠損させたラットに移植し、約1カ月で骨や靭帯などが形成されたことを確認したという。今後、人での臨床研究を計画している。

姫路城 26年春から18歳未満無料に 大人は値上げへ継続検討

兵庫県姫路市は12月6日、世界遺産・姫路城の入場料について、2026年春ごろから18歳未満を無料とする方針を明らかにした。より多くの子どもたちに姫路城を訪ねてもらい、世界遺産の保存と継承に関心を持ってもらうのが狙い。現行は小中学性と高校生が原則300円だが、関連条例の改正で無料にする。
入場料を巡っては清元市長が6月、国際会議で、「外国の人は30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」と発言。城の維持管理費を確保するため、18歳以上について、市は市民以外を現行(1,000円)の2〜3倍となる2,000〜3,000円にする方向で検討している。市によると、昨年度の入場者は147万9,567人で、18歳未満の有料入場者は11%の17万7,212人だった。

NASA 月探査「アルテミス計画」有人飛行・着陸時期を延期

米航空宇宙局(NASA])は12月5日、米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」について、月探査用の宇宙船「オリオン」による月付近の有人飛行を2025年9月から2026年4月に、月南極地域への有人着陸を2026年9月から2027年半ばに、それぞれ延期すると発表した。これは2022年12月にNASAが行った、月と地球の間を往復させる試験に成功した無人のオリアンの課題を踏まえたもの。地球の大気圏突入時に想定を超える高温となったため、原因究明と対策を進めており、スケジュールを遅らせることにした。
アルテミス計画には日本も参加し、日米は今年4月、日本人飛行士2人が月面に降り立つことで合意している。

米TikTok規制「合憲」言論の自由に違反せず 連邦控訴裁

米国の首都ワシントンの連邦控訴裁判所は12月6日、中国発の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」を米国内で規制する法律を巡り、法律の差し止めを求めたティックトック側の訴えを退けた。ティックトック側は法律が「言論の自由」を定めた憲法に違反すると主張したが、裁判所は違反しないと判断した。米政府は、ティックトックの利用者データが中国に流出するなどし、安全保障上のリスクが高まると懸念している。ティックトック側は今後、連邦最高裁判所で争う構え。
法律が施行される2025年1月19日までに、運営会社の中国のバイトダンスがティックトックの米国事業を売却しなければ、米国内でアプリの配信や更新はできなくなる。ただ、大統領が認めた場合、最大90日まで売却とサービスの停止が猶予される。

インフルエンザ全国的流行期入りから患者数4週連続増加

国立感染症研究所のまとめによると、12月1日までの1週間に全国およそ5,000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は2万4,027人で、1医療機関あたり4.86人と前の週から2.5人増えている。全国的な流行期に入ってから患者数が増加するのは4週連続。
都道府県別にみると、多い方から福岡県11.43人、長野県9.07人、千葉県8.18人、広島県7.01人と続く。大都市圏でも大阪府4.91人、愛知県4.66人、東京都4.32人などとなっており、全国46の都道府県で前の週から増加している。

小池都知事 職員の働き方改革で来年度から「週休3日」導入

東京都は来年度からフレックスタイム制を活用した「週休3日」を導入する方針だ。小池知事は12月6日、「働き方に選択肢ができるので職員それぞれのニーズに応じた働き方をしてもらい、定着していくことを期待する」と述べ、働き方改革の一環として定着を目指す考えを示した。
都は来年度から、4週間で155時間の総労働時間を確保すれば、1週間の中で休暇を1日取得できるようにする。同様の制度は今年度から、茨城県や千葉県などで導入されている。

KDDI 30年に全自動配送実現 ドローン・ロボ・車を一体制御

KDDI(本社:東京都千代田区)は12月6日、ドローン、配送ロボット、自動運転車を組み合わせた全自動の配送技術を2030年に実用化すると発表した。異なる機械をまとめて一体制御するシステムを開発、駆使することで実現する。
同日、千葉県君津市内でドローンや配送ロボットなどを一体的に運用する制御システムの実証実験に成功した。実験には高精度地図を手掛けるアイサンテクノロジー(本社:名古屋市)や自動運転技術開発のティアフォー(本社:名古屋市)、KDDIスマートドローン(本社:東京都千代田区)、KDDI研究所(本社:埼玉県ふじみ野市)などが参加した。

旭化成 EC, DMC技術ライセンスした中国プラントが運転開始

旭化成(本社:東京都千代田区)は12月5日、高純度エチレンカーボネート(EC)および高純度ジメチルカーボネート(DMC)を技術ライセンスした中国Jiangsu Sailboat Petrochemical Co.,Ltd.(本社:江蘇省連雲港市、以下、Sailboat)の新プラントが11月に商業運転を開始したと発表した。
これらの高純度カーボネートは、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)の電解液溶剤に用いられており、二酸化炭素(CO2)を主原料とする大型高純度カーボネート類生産技術の確立とその工場の稼働は、CO2を化学製品の原料として消費する機会を大きく広げることにつがる。このライセンス技術は原料の約50%がCO2であり、年間数万トンのCO2を消費・吸収する技術として世界中から注目されている。

エーザイ 認知症治療薬「レカネマブ」メキシコで承認取得

エーザイ(本社:東京都文京区)は12月5日、米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」について、メキシコの規制当局から新薬承認を取得したと発表した。同治療薬の承認は米国、日本、中国などに続き9カ国・地域目で、南米地域での承認取得は初めて。エーザイの推計によると、メキシコのアルツハイマー病患者数は約130万人。エーザイは2025年3月期のレケンビの世界売上高を前年同期比9.9倍の425億円と見込んでいる。

神戸アイセンター 初のiPS網膜移植「先進医療」申請へ

神戸市立神戸アイセンター病院は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくった網膜の細胞を移植する治療を、厚生労働省に早ければ2025年1月にも入院や検査の費用に公的保険を利用できる「先進医療」として申請することが分かった。認められればiPS細胞を使った細胞移植治療では初となる。
神戸アイセンター病院のチームは、「網膜色素上皮不全症」の患者の目に、iPS細胞からつくった網膜色素上皮細胞を、髪の毛ほどの太さのヒモ状に加工して移植する治療法の開発を進めている。