「熱中症特別警戒情報」を新設 法改正案を閣議決定

政府は2月28日、地方自治体の熱中症対策を法的に位置付ける気候変動適応法の改正案を閣議決定した。従来の熱中症警戒アラートより一段上の「熱中症特別警戒情報」を新設する。今国会に提出し2024年夏までの施行を目指す。高温で人の健康に重大な支障があると判断した際、環境相が発表する。
消防庁によると、熱中症での救急搬送は2018年以降、年4万人を超えている。死者は1,000人を超える年もあり、対策が求められていた。

22年DV相談8.4万件で過去最多更新 19年連続で

警察庁のまとめによると、2022年に警察に寄せられたドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数は、前年比1,456件(1.8%)増の8万4,496件で過去最多を更新したことが分かった。最多更新は19年連続。
また、復讐するために元交際相手らの裸の写真などを流出させる「リベンジポルノ」の相談件数は1,728件で、これも過去最多を更新した。このほか、ストーカーの相談件数は1万9,131件で前年比597人減少したが、いぜんとして高水準となっている。

くら寿司 全店舗でAI監視システム導入 迷惑行為受け

くら寿司(本社:大阪府堺市)は3月2日、回転レーンに流れるすしへの不審な行為を人工知能(AI)で検知するシステムを全国の約530の全店舗で導入したと発表した。レーン上部のカメラが皿のカバーの不審な開閉を検知し、店舗の従業員が皿の除去や顧客に声掛けする。最近、迷惑行為を撮影した動画がSNS(交流サイト)上に相次いで投稿されていることを受けたもの。

エーザイ 認知症薬「レカネマブ」中国で優先審査

エーザイ(本社:東京都文京区)は2月28日、米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が中国国家薬品監督管理局(NMPA)から優先審査の指定を受けたと発表した。これにより、承認までの期間を短縮できるという。
NMPAによる優先審査は、顕著な臨床的価値を持つ新薬等に対する研究、開発、上市の加速を目的として制定された制度。

鼻スプレー型インフルワクチンを了承 厚労省

厚生労働省の専門部会は2月27日、鼻にスプレーして接種するインフルエンザのワクチン「フルミスト点鼻液」について、製造販売を認める方針を了承した。2歳以上19歳未満が対象。国内で初めて鼻スプレーのワクチンが実用化する。
これはインフルエンザウイルスを弱毒化して鼻から投与するもの。鼻や喉の粘膜から取り込まれて免疫の働きを高める仕組み。
厚労省によると、2022年12月時点で米国や欧州など30以上の国や地域で製造販売が承認されている。

雇調金コロナ特例3月末ですべて終了 厚労省

厚生労働省は2月27日、従業員の休業手当を払う企業を支援する雇用調整助成金で、新型コロナウイルス禍で設けた特例を3月末にすべて終了することを正式に決めた。支給額の上乗せに続き支給要件の緩和も終える。
総支給額が6兆円超に上り、約3年に及んだ雇用の下支えは、中小・零細企業の経営破綻を防いだ半面、長期にわたったことで労働力の円滑な移動を阻んだ側面もあったとも指摘されている。3月中に省令を改正し、4月からは通常の支給要件に戻す。

JTB・KDDI 観光DXで協業 関空に疑似体験ブース設置

JTB(本社:東京都品川区)とKDDI(本社:東京都千代田区)は2月28日、「コロナ後の観光における潜在的課題解決に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)施策実施に係る覚書」を初めて締結したと発表した。
両社による取り組みの第1弾として、3月10〜31日まで関西国際空港内の関西ツーリストインフォメーションセンター関西国際空港で「スマートグラスによる地域観光疑似体験ブース」を設置する。また、今後復活が見込まれる訪日外国人旅行客をターゲットとし、アドベンチャーツーリズムの機会づくりにも取り組む。

24年春卒大学生の「就活」解禁 企業の採用意欲高い

政府が決めたルールに基づく2024年春卒業予定の大学生の就職活動が、3月1日から企業による学生への説明会が始まり本格化した。
就職情報サイトの「マイナビ」が2月に全国の企業を対象に行った調査では、2024年春に卒業する大学生の採用人数を「増やす」と答えた企業の割合は、文系が前年より8ポイント余り高い27.7%、理系が7ポイント高い29.8%といずれも上昇している。増加は2年連続。コロナ禍からの経済回復に伴い、企業の採用意欲は一段と高まっている。
また、採用環境が「厳しくなる」と回答した企業の割合は、文系、理系ともに前年より大幅に増えほぼ半数に上っている。人材の獲得に向け実施したり検討している企業の取り組みとして「初任給の引き上げ」が59.2%、仕事の内容の明確化につながる「職種別採用の導入」が51.5%などとなっている。

ラピダス 北海道千歳市に最先端半導体新工場建設へ

トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTなど8社が共同出資し、最先端半導体の国内生産を目指しているラピダス(本社:東京都千代田区)の小池淳義社長は2月28日、北海道庁を訪問、鈴木直道知事と面会し、千歳市の工業団地に量産拠点となる世界最高水準の新工場を建設することを決めたと伝えた。
同団地は新千歳空港に近く、近隣にはデンソーをはじめ自動車関連の産業集積、部品製造会社などが数多く進出しているほか、水資源にも恵まれている半導体産業にとって極めて良好な立地環境と判断した。
ラピダスはベルギーの国際的な研究機関、imec(アイメック)や米IBMとも提携。工場や研究拠点の整備を進める方針を示しているほか、国からも当初の設備整備として700億円の補助を受け、最終的に同プロジェクトに国は3,000億円筒度を投資する。今後量産に向けて5兆円規模の投資が必要になるとみられる。ラピダスは「2ナノ」と呼ばれる最先端の演算用半導体の量産を掲げている。