中国に「G7の懸念 直接表明」外相会合が共同声明に明記

長野県軽井沢町で4月16〜18日にわたり開かれていたG7(主要7カ国)外相会合が3日間の協議を終えて閉幕した。5月の首脳会議(広島サミット)に向けた議論の方向性をまとめた。
18日に採択された共同声明で、「G7として初めて法の支配に基づく国際秩序への関与を確認」し、「中国に懸念を直接表明する重要性を認識する」と明記した。
そのうえで議長を務めた林芳正外相は「世界のどこであれ、一方的な現状変更の試みに強く反対すると確認できた」と強調した。また、今回G7外相の共同声明に初めて「経済安全保障」の項目を設け、中国などの経済的威圧に対処するため「信頼性に基づく強靭なサプライチェーンを構築する」としている。このほか、気候変動などの国際課題には「中国と協働する必要性を認識する」とも指摘。中国に「国際社会の責任ある一員として行動するよう」求めている。

天然ガス段階的廃止で合意 G7気候・エネルギー・環境相

日本が議長国を務めたG7(主要7カ国)の気候・エネルギー・環境相は4月15〜16日、札幌市における会合で、二酸化炭素(CO2)削減への対策を講じていない化石燃料の使用の停止に向けた取り組みを強化することで合意した。今回天然ガスを対象に加え段階的な廃止に着手する。ただ、石炭火力発電所の廃止時期の明記は見送った。
再生可能エネルギーの導入目標として、洋上風力発電を2030年までに7カ国合計で2021年実績比約7倍の1.5億KWに引き上げる。太陽光発電は2030年までに現状の約3倍の10億KWに増強する。このほか、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2040年までにゼロにする目標でも合意した。これまでG20では2050までに汚染をゼロにすることで合意しているが、G7では10年前前倒しする。

ASEAN ミャンマー国軍に非難声明 空爆で民主派弾圧

東南アジア諸国連合(ASEAN)は4月13日、ミャンマー国軍が民主派を弾圧するため行った空爆で、多数の死者が出たことについて、「強く避難する」との声明を発表した。「すべての形態の暴力、とくに市民を狙った武力の行使は即座に停止されなければならない」と強調した。そして「暴力の停止は持続可能な平和的解決策を見出すための包摂的な国民の対話を促す環境をつくり出す唯一の道だ」と指摘している。

「G7が結束して行動」財務相・中央銀行総裁会議

米国・ワシントンで4月12日、日本が議長国を務めるG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議が開かれた。欧米の金融不安がくすぶる中、「金融システムの安定と強靭さを維持するために、G7が結束して適切な行動を取る用意がある」とする共同声明を採択した。同会議には、日本から鈴木財務相と、9日に就任したばかりの日銀の植田総裁が出席した。

日本 カンボジアの灌漑排水施設整備に24億円の借款

日本政府はカンボジア・プノンペン南西部における感慨排水施設等の改修・整備に係る資金支援として24億8,200万円を限度とする円借款を供与する。これは対象地域の農業生産性の工場を図り、同地域の農民の生計向上に寄与するもの。
同案件は2014年に署名を交わしているが、その後の為替変動等により総事業費が増加したことを受け、追加的に円借款で対応するもの。

日本からウクライナへがれき処理用の建設重機供与

日本からウクライナに建設揚重機が供与され4月11日、首都キーウの近郊イルビンで、ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相や在ウクライナ日本大使館の松田邦紀大使ほか、国際協力機構(JICA)担当者など両国の関係者が出席し、引き渡しの式典が行われた。これはウクライナ各地で課題になっている、ロシアによる軍事侵攻で破壊された建物のがれき処理に使用されるもの。今回は重機7台が引き渡された。がれきの撤去にあたる日本からの支援の第一弾。今後さらに10台の重機がイルビンに供与されるほか、南部ヘルソンなどにも送られる予定。

日本 インドネシアの国土強靭化等に436億円の借款

日本政府は、インドネシアの水力発電所建設と災害に対する強靭化促進計画の2件に総額436億2,900万円を限度とする借款を供与する。この内訳はアチェ州の水力発電所、関連送配電施設の建設(プサンガン水力発電所建設計画)(第二期)で136億2,900万円、災害に対する強靭化促進・管理プログラム・ローン(第三期)で300億円。
水力発電所の建設により、アチェ・北スマトラ系統の電力需給逼迫の緩和および供給の安定を図る。また、自然災害が頻発する同国で災害への対応能力を高め、強靭な社会・経済の実現に寄与する。

日中外相初会談 林氏,日本人拘束に抗議 対立浮き彫り

林芳正外相は4月2日、北京で中国の秦剛(しんごう)国務委員兼外相と会談した。林氏は3月に北京でアステラス製薬社員の男性社員が中国当局に拘束されたことに抗議し、早期解放を要求した。一方、秦氏は日本が尖端半導体製造装置の輸出規制の厳格化方針を発表したことについて、「悪人(=米国)の手先になるべきでない」と批判した。
ただ、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を目指すことでは一致した。韓国を交えた3カ国の首脳や外相らの協議の枠組みを再び動かす方針を申し合わせた。
だが、米中対立が深刻化する中で、ほかにも対立点は多く、この日の会談でも立場の違いが浮き彫りになった。日本の外相の訪中は2019年12月以来、約3年3カ月ぶり。

林外相 李強首相、外交トップ・王毅氏とも会談
林外相は3月に就任した李強(りきょう)首相と日本の閣僚では初めて面会し、日本人解放を働きかけた。首脳間を含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を継続することの重要性で一致した。また、外構担当トップの王毅共産党政治局員とも会った。