11月末の外貨準備高は微減の969億㌦ 上昇は一服
インドネシアの11月末時点の外貨準備高は前月末から微減の969億6000万米㌦(約9兆9800億円)だった。1000億米㌦を下回るのは6カ月連続。前月末までは3カ月連続で上昇したが一転、11月は減少に転じた。ただ、インドネシア中央銀行は、外的ショックに対応するための金融政策の実施に向けて、十分な外貨準備を確保していると判断している。輸入と対外債務の5.3カ月分に当たり、国際通貨基金(IMF)が安全圏と定める3カ月以上の水準は上回った。
インドネシア政府が経常赤字改善へ経済対策第2弾発表
インドネシア政府が経常赤字改善へ経済対策第2弾発表
インドネシア政府は12月9日、下落傾向に歯止めが掛からない通貨ルピア安の原因となっている経常赤字を改善するため、経済対策の第2弾を発表した。これは経常赤字の縮小に向け打ち出された8月の景気刺激策に続くもの。柱は①輸入時に係る前払い法人税率の引き上げ②輸出企業に付与する輸出目的輸入便宜(KITE)制度の見直し-の2点。ただ、これらの政策について、商社をはじめとする企業にとっては、税務リスクが高まるとの不満の声も出ている。
財務省は関連規定となる財務相令2本を発布した。輸入時の前払い法人税の引き上げは30日後、輸出企業への優遇措置は60日後にそれぞれ施行する。
輸入に係る前払い法人所得税の改定では、携帯電話やパソコンなど完成品の消費財を輸入する事業者の所得税率を2.5%から7.5%に引き上げる。税率変更の対象となるのは、生産過程に組み込まれない物品502種。KITEは輸入関税だけが免除の対象だったが、付加価値税(VAT)と奢侈(しゃし)税も加える。複雑だった従来の手続きを改めて簡素化し、輸出業者が利用しやすくする。
WTO「税関手続きの簡素化」など3分野で画期的合意
WTO「税関手続きの簡素化」など3分野で画期的合意
インドネシア・バリ島のヌサドゥアで開催されていた世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議は12月7日、「税関手続きの簡素化」など3分野で部分的な合意に達した。今回合意されたのは、貿易を円滑にするための「税関手続きの簡素化」、農業補助金の特例を認める「農業の一部」、後発発展途上国支援に関する「開発」の3分野。WTOが掲げる「世界全体における貿易障壁の打破」という目標には程遠いが、12年に及ぶ新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、初の具体的な成果となる。
2001年にカタールのドーハで始まったドーハ・ラウンドは貿易の障壁を取り除き富裕国と貧困国のどちらも公平で世界的に拘束力のある枠組みの確立を目指している。しかし、WTO加盟159カ国・地域それぞれが持つ保護主義的な思惑から、合意に達することができず交渉は難航していた。今回も会期は4日間の予定で、6日に閉会する予定だったが合意に至らず、7日も未明から協議が重ねられていた。
「ルピア安は続き、長期のリスクヘッジが必要」林氏
「ルピア安は続き、長期のリスクヘッジが必要」林氏
ジャカルタのホテルでこのほど行われた経済講演会で、三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の林哲久副支店長は「インドネシアルピア底入れの条件」と題し、講演した。林氏は2014年のルピア相場動向について、現在の経常収支、貿易収支の赤字がが続くことが予想される中、米国の量的緩和縮小が引き金となり、ルピア安が一層進む懸念を指摘。その際、ルピアは1ドル=1万2500ルピアが一つの目安になると予測した。そして、「可能な限り長期に、ルピアのリスクヘッジを行う必要がある」と不測の事態への対処が必要と警戒を呼び掛けた。
減らぬ燃料補助金 ルピア安などで値上げの効果現われず
減らぬ燃料補助金 ルピア安などで値上げの効果現われず
インドネシア政府は財政圧迫要因となっていた補助金付き燃料の値上げを断行したが、目的とした補助金の支出は減らず、逆に増加傾向にある。これは、いぜんとして好調な同国の新車販売に表れているように、消費量が増大していることと、通貨ルピア安に伴い、高値で推移してきた国際原油価格が響いているためだ。電力補助金を合わせたエネルギー補助金が、政府の歳出を圧迫する構造はまだまだ続き、改善される可能性は極めて低い。
中でも大きな要因はルピア安だ。12月2日現在、銀股間取引相場は1ドル=1万2000ルピア前後で推移している。2013年補正予算は1ドル=9600ルピアの想定だった。したがって、ルピア安は石油の輸入価格を押し上げるため、1㍑6500ルピアまで販売価格を押し下げる補助金が増大するわけだ。地元紙によると、対ドル100ルピア安くなるごとに補助金が年間3.8兆ルピア増えるという。
13年補正予算では燃料補助金に199.9兆ルピア、電力補助金に99.9兆ルピアを計上。この二つのエネルギー補助金299.8兆ルピアは同年の中央政府の歳出1196兆ルピアの実に25%を占めている。この膨大な財政負担軽減には14年、当然、再び燃料値上げが必要となるが、総選挙の年だ。国民に負担を求め、反発を買う恐れがある政策は打てず、消費量を抑制したり、他の燃料への転換を促す必要があるが、目先、率直に言って効果を期待できる妙案があるわけではない。
10月の貿易収支は5000万ドルの2カ月ぶり黒字に
10月の貿易収支は5000万ドルの2カ月ぶり黒字に
インドネシア中央統計局によると、10月の貿易収支は5000万㌦の黒字となった。石油・ガス部門の輸出増加で、8月以来の黒字となった。ただ、1~10月累計では63億6000万㌦の赤字となっている。
10月の輸出額は前月比6.87%増、前年同月比2.59%増の157億2000万㌦。一方、10月の輸入額は前月比1.06%増、前年同月比8.90%減の156億7000万㌦。この結果、1~10月累計で輸出総額は前年同期比5.46%減の1496億6000万㌦、輸入総額は同1.98%減の1560億2000万㌦。
11月は消費者物価8.37%上昇 ルピア安が輸入物価に影響
11月は消費者物価8.37%上昇 ルピア安が輸入物価に影響
インドネシア中央統計局によると、11月の消費者物価指数は前年同月比8.37%上昇した。電力や一部食品の値上がりに加え、長引く通貨ルピア安による様々な商品の輸入物価の上昇が響き、10月の8.32%を上回る伸びとなった。
インドネシアとASEAN連結性強化支援で円借款200億円
インドネシアとASEAN連結性強化支援で円借款200億円
日本とインドネシア両政府は11月29日、198億4800万円を上限とする「連結性強化開発政策支援」の交換公文に署名した。連結性強化開発政策では世界銀行、アジア開発銀行と協力し、インドネシアのインフラ開発と国内外の連結性強化を促す。日本側は鹿取克章駐インドネシア日本大使が、インドネシア側は外務省のユリ・オ・タムリン、アジア・太平洋・アフリカ総局長が署名した。
円借款はインフラ開発支援を目的に、行政職員の能力改善や知識獲得の支援、制度の改善などに使われる。金利は0.8%で、償還期間は15年を目標とする。交換公文はASEAN連結性支援の一環で、2010年のASEAN首脳会議でマスタープランを採択した。15年末のASEAN経済共同体構築に向けて、モノや人の流れの円滑化を促進し、経済の一体性を高める。運輸部門や光ファイバー網など物理的連結性と、通関・港湾関連手続きの迅速・統一など制度的連結性を強める。観光・教育・文化面での人の連結性の構築も目標としている。
WTO閣僚会議 12/3バリ島で開幕 政治決着に望み
WTO閣僚会議 12/3バリ島で開幕 政治決着に望み
世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議が12月3日、インドネシア・バリ島で開幕する。新多角的貿易交渉(ドーハラウンド)の「貿易円滑化」など3分野について、事務レベルの合意失敗を受け、閣僚による政治決着を模索する。成否は多国間通商交渉の将来を占うものとなるが、事態打開につながるかどうかは極めて不透明。会期は6日まで。
年末に向け1ドル=1万2000ルピアの大台割れ懸念
年末に向け1ドル=1万2000ルピアの大台割れ懸念
通貨ルピアの対ドル相場がジリ安で推移しており、年末に向け1ドル=1万2000円ルピアの大台割れの懸念が強まっている。インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は11月22日、ルピア安について、例年年末は民間の対外債務支払いが増えるなど季節的要因でドル買い需要が高まると指摘。数カ月以内の量的緩和縮小が可能との米国連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の影響についても、世界中が影響を受けており、インドネシアに限ったことではないとし、ルピア安の進行に過剰に悲観視しないよう呼びかけた。ハティブ財務相も同日、重要なのは為替レートが急激に上下せず、安定していること-と、市場関係者に冷静な見方を保つようにアピールしている。
ただ、12日の政策金利引き上げがルピア安の国内要因とされる経常赤字の縮小に与える効果が疑問視される中、中銀はさらなる利上げや市場介入などの対策を迫られる場面も予想される。