患者たらい回し防止へ 病院の医療体制再編・整備急ぐ
ジャカルタ特別州は州立病院の施設充実により、クラス「A」病院の整備を急ぎ、問題となっている患者のたらい回しを防ぐ方針だ。インドネシアの病院は医師の配備、設置設備によりA~Eまでランク分けされており、クラス「B」「C」が合わせて7割を占める。クラス「A」に指定されるには設備はもちろん、複数の専門医を置き、保健省の検査に合格する必要がある。また、クラス「A」の病院になると患者を他の病院に送ることができない。
したがって、医師・設備を充実し格上げし、クラス「A」の病院を増やしていけば、自ずと患者のたらい回しによる悲劇をなくす対策にもなるというわけだ。今回、ジャカルタ特別州が計画しているのも、こうした考え方に基づくもので、例えば設備面でクラス「A」の基準を満たしていれば、専門医の確保が可能であれば、格上げ指定候補になると判断。州は2月26日、中央ジャカルタの2カ月前までクラス「C」だった州立タラカン病院を、医療体制整備に力を入れ「A」に引き上げている。また同日、ジョコウィ知事は北ジャカルタのコジャ病院を「A」に引き上げる計画を明らかにしている。
世銀機関がイ政府の異議を棄却 英鉱山へ賠償の公算も
世銀機関がイ政府の異議を棄却 英鉱山へ賠償の公算も
英鉱山チャーチルマイニングが東カリマンタン州クタイ県での鉱業許可取り消しで損害賠償を求めている紛争で、世銀傘下のICSID(国際投資紛争解決センター)は2月25日、インドネシア政府による異議申し立てを棄却した。これによりインドネシアは多額の賠償をしなければならない可能性がある。
両者の争点はICSIDへの提訴の正当性だ。チャーチルは2012年の提訴以来、英・イ、豪・イ投資協定にある投資協定仲裁での解決を求める立場。これに対しインドネシア政府は、元来この紛争は英、豪との投資協定の範囲外で起きていることで、しかもICSIDが仲裁する権利を持つことを承認していない。したがって、ICSIDの裁定そのものも正当性はないとの立場だ。言い分は平行線だ。
チャーチルは鉱業許可取り消しにより少なくとも10億5400万㌦(約1070億円)損失を被ったと主張。一方、インドネシア法務人権相はインドネシアが投資協定に違反していない明確な証拠があると反論し、両社の隔たりは大きい。
房総参謀長と両国軍の交流で一致 訪中のムルドコ司令官
房総参謀長と両国軍の交流で一致 訪中のムルドコ司令官
インドネシアのムルドコ国軍司令官は2月25日、中国北京市内で中国人民解放軍の房峰輝総参謀長と会談し、両国軍間の交流を推進しることなどで一致した。インドネシアの国営アンタラ通信などが報じた。ムルドコ国軍司令官は2013年8月に就任後、ASEAN(東南アジア諸国連合)域外を訪問するのは初めて。
温暖化で2050年までに1500の島が水没か 外国から関心
温暖化で2050年までに1500の島が水没か 外国から関心
英国のリスク評価会社メイプルクロフトがまとめた2014年度版「気候変動性脆弱性指数」によると、インドネシアはカンボジア、フィリピン、バングラデシュなどとともに、地球温暖化に伴う海面上昇の危険性にさらされる可能性の高い国に挙げられ、海外各国からその対策を含め高い関心を集めている。
メイプル社のまとめによると、海面上昇でインドネシアは2030年までにスカルノハッタ国際空港(バンテン州タンゲラン)、50年までに国内の1500の島が海に沈む。周知の通り、インドネシアは海岸線の全長が約9万9000㌔に達し、世界でも有数の長い海岸線を持つ国の一つ。首都ジャカルタは総面積の約4割が海抜以下だ。
こんなインドネシアの温暖化対策対策には、外国政府からとりわけ高い関心を集めている。それは増加する中間層の経済力を見込み進出する国際企業が多く、対策の遅れがそれらの企業活動にも大きな影響を与えるからだ。だが、それは悲観する要素ばかりではない。インドネシア政府が温暖化による経済活動への悪影響を軽減する取り組みを示せれば、逆にさらに投資を呼び込む機会になる-との見方もある。
アジア開発銀行(ADB)の気候変動専門家は、「今世紀末までに海面が90㌢上昇すれば、海岸線から3㌔以内に暮らす住民4200万人が影響を受ける」との観測を示している。インドネシア水産省によると、2005~07年の間にアチェや北スマトラ、パプア、リアウなどの州で計24の島が水没している。インドネシアにとっては”待ったなし”の問題となっている
国会へ賄賂14万㌦ SKKミガス汚職事件公判で証言
国会へ賄賂14万㌦ SKKミガス汚職事件公判で証言
石油ガス上流事業監督機関SKKミガス汚職事件の公判で、検察側証人として出廷したエネルギー鉱物資源省財務局長は2月25日、エネルギー政策を担当する国会第7委員会への賄賂として計14万㌦を渡していたと証言した。同財務局長は2013年5月、同省事務次官からドル札の入った封筒を受け取り、金額を確認した後、民主党幹部の国会第7委員会委員長の側近に手渡したという。レバラン(断食明け大祭)賞与の名目で、金額は同委員長や副委員長3人の計4人にそれぞれ7500㌦、同委員43人、事務局長にそれぞれ2500㌦渡された。地元メディアが報じた。
これまでの公判で、国営ガス石油プルタミナのカレン・アグスティアワン社長も、国会対策の賄賂30万㌦を同社とSKKミガスが折半負担することを要求されたと証言している。
ユスロン新駐日大使が皇居で信任状奉呈式 活動開始
ユスロン新駐日大使が皇居で信任状奉呈式 活動開始
インドネシアのユスロン・イフザ・マヘンドラ新駐日大使が2月24日、正式に日本での活動を開始した。日本政府差し回しの馬車で皇居に入った同大使は、宮殿「松の間」でユドヨノ大統領の親書を天皇陛下に手渡す信任状奉呈式に臨み、大使としての第一歩を記した。ユスロン大使は日本に留学経験があるほか、就職してからも日刊紙コンパスの東京支局長を務めた経歴を持つ知日家。
修復急ピッチ 首都圏の洪水被害の大きさ浮き彫りに
修復急ピッチ 首都圏の洪水被害の大きさ浮き彫りに
首都圏では、ジャカルタ特別州による各所の洪水による陥没道路のアスファルト舗装をはじめとする修復や、排水溝のふたの取り替え工事などが急ピッチで進められているが、同時に事故を誘発するケースも少なくなかった、洪水による被害の大きさが改めてクローズアップされている。
ジャカルタの目抜き通り、スディルマン通りでは数十㌢の穴が開いた箇所もあり、陥没した場所もあった。専用路線バス・トランスジャカルタの「ポルダ・メトロ・ジャヤ(警視庁)」停留所の歩道橋付近には直径50㌢の穴が開いた。1月22日夜の大雨で23日に陥没、ここを通ったバスの後輪がこの穴にはまり身動きできなくなる事故があった。西ジャカルタのダアンモゴット通りでも陥没箇所が続出。40~50㌢の穴が開き、渋滞悪化に輪をかけた。
イの失業者数は年間100万人ずつ増加 アピンド会長
イの失業者数は年間100万人ずつ増加 アピンド会長
インドネシア経営者連盟(アピンド)のソフィヤン・ワナンディ会長はこのほど、政府による雇用機会の最大化策が進んでおらず、失業者数が年間100万人ずつ増加する見込みであると語った。また同会長は、より多くの雇用機会を創出するためには、政府による経済成長率6%の実現が非常に重要であるとの見解を示した。コンパスが報じた。
東ジャワ州で総選挙での”買収撲滅”訴える街頭看板
東ジャワ州で総選挙での”買収撲滅”訴える街頭看板
4月の総選挙を間近に控えたインドネシアの、東ジャワ州パスルアン県のラヤ・ワルン・ドウォ通りに、選挙での買収撲滅を訴える街頭看板が設置され、歩行者の注目を集めている。じゃかるた新聞が報じた。大量に積み上げられた5万ルピアや10万ルピアの紙幣の上に金の亡者(もうじゃ)と化した男性が描かれており、看板には「(買票で渡される)政治金を拒否しよう」と書かれている。制作したのはインドネシア最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(UN)に所属するムハンマド・ロジー・ムフリスさん(37)。有権者が自らの意思で投票するように、とのメッセージを込めたという。
クルド山噴火がジョクジャカルタ州の気象に様々な影響
クルド山噴火がジョクジャカルタ州の気象に様々な影響
ガジャマダ大(UGM)の災害対策チームの分析によると、2月13日に発生した東ジャワ州クディリ県のクルド山噴火が、同山西側のジョクジャカルタ特別州の気象に様々な影響を及ぼしていることが分かった。
噴火に伴い、ジョクジャカルタ特別州では広範囲に降灰があり、それまで26~28度だった日中の平均気温が14日以降、6~8度上昇し32~36度に上がった。この点について同チームは「火山灰には吸湿性があり、大気中の水分を吸収した。その結果、大気が乾燥し気温上昇につながった」と分析している。
また、同州の大気中に含まれる火山灰の粒子は1立方㍍当たり416マイクロ㌘で、多い地域では1249マイクロ㌘を観測した。これにより同州保健局によると、火山灰の影響で呼吸疾患などの患者が25%増加したという。